屏風にあそぶ春のしつらえ -茶道具とおもてなしのうつわ-(前期)@泉屋

「屏風にあそぶ春のしつらえ -茶道具とおもてなしのうつわ」

住友コレクション 泉屋博古館分館

2017年2月25日(土)-5月7日(日)
《前期》2月25日(土)-3月26日(日)
《後期》3月30日(木)-5月7日(日) 

今回は美術館開催の内覧会にて特別に撮影許可を頂き紹介する。

野地館長と森下愛子学芸員より会場にて丁寧な説明を頂いた。

ここで一番の見どころは、文句なく「二条城行幸図屏風」である
江戸時代の徳川家光後水尾天皇を載せた御車がそれぞれの方向へ進んでいく様子を描いたもので
行列だけではなく、見どころはそれを見物している市井の人びとの活き活きとした生活の姿である。
総勢3226人に及ぶ行幸の列と観衆を描くが、その着物から食事、飲んで食べて遊んで生きる姿は面白いほど活き活きしている。

『二条城行幸図屏風の世界 天皇と将軍華麗なるパレード』泉屋博古館 編 (2014/11)
二条城行幸図屏風の世界―天皇と将軍華麗なるパレード
驚異の高精細スキャナー画像による屏風絵の世界へ! 
寛永3年9月、上洛中の徳川秀忠、家光の招きに応じ、後水尾天皇が二条城に行幸する様子を描いたという「二条城行幸図屏風」。
総勢3226人に及ぶ行幸の列と観衆を精細画像でクローズアップし、子細に読み解き紹介する本。
これでじっくり読破しても良いし、会場内では映像でわかりやすく紹介している。
(ただ賑やかな音や不思議キャラがこの美術館のイメージとはちょっとズレている感じ)


二条城行幸図縁、つまり後水尾天皇にゆかりがある茶道具類が並んでいる。
展覧会では中味、うつわのみ並べる事が多いが、こうして中箱、外箱、掛け軸、仕覆など茶道具をしまうさまざまな仕立ても一緒に展覧できる贅沢はこの美術館ならでは。

 住友家では裏千家の道具類が並ぶ。

《瀬戸肩衝茶入 銘 打出》


《唐物写十九種茶入》
可愛らしい茶入れがそれぞれ個性的でありながらズラリと並べて拝見すると壮観!
茄子、文琳(りんご)、瓢箪など果実の形を見るものも愛らしいもの。

《瓢箪釜 銘 空庵》は裏千家の形だそう。「空庵」という書と共に。


香田勝太《春》春秋草花図、 (手前)三代清風与平《白磁桜花紋花瓶》
写真左の屏風は油絵で描いたという珍しい屏風。


菊池容斎《桜図》、裏千家らしいお道具《夕顔彫皆具》、(手前)三代清風与平《白磁桜花紋花瓶》
野地館長によれば、一昨年住友家の蔵から発見されて今回初公開とのこと。しっかり桜花を描き込んでいる技を見てほしいとのこと。
作者菊池容斎(1788-1787)は幕臣で流派全て学んだという。江戸期の上野寛永寺の桜を描いているが、戊辰戦争で焼けてしまったのだ。

いずれも桜尽くし。
大阪の漆問屋「東門」の手による漆は、桜楓を織り交ぜて美しく配する。驚くことに黒地に黒漆で繊細な桜楓を描いている。
金で描くのと違い一見わからないが、光の加減でそれが浮かぶとき声をあげる位驚いた。なんとも粋な至高の漆芸である。