これぞ暁斎@bunkamura

2017年2月23日(木)〜4月16日(日)Bunkamura ザ・ミュージアム
ゴールドマンコレクション これぞ暁斎! 世界が認めたその画力

「地獄大夫と一休」三味線を奏で踊る骸骨が出迎える。
中村剛士さん×チバヒデトシさん×黒田和士学芸員のクロストーク

イギリスのイスラエル・ゴードマンコレクションから秀逸の河鍋暁斎の作品がずらりと来日している。

今回は内覧会で特別撮影許可を頂いた。実物をじっくり眺めることほど至福な事はなく、今回は会場風景のみ紹介したい。(作品番号)

実物をとくと眺めれば、その筆さばきの軽妙洒脱ぶり。そして緻密な描き込み。
動物や妖怪、神様も鬼も 実に愛らしく楽しく紙上で大活躍している。

始まりは象×狸。愛らしい小さな狸と白象。
ゴールドマンさんのお気に入りで一度は手放したものの買い戻したという。(1)(2)(3)
動物、とくに蛙の表情は鳥獣戯画を研究し尽くしてオリジナルに動き出す。
歌川国芳の影響も感じる動物たちの賑やかな振る舞い。

2章は黒鴉の群れ。30点ほどコレクションがあるという。ただならぬ黒づくめ。

大仏と助六、五聖奏楽図、野菜尽くしに魚介尽くし (75)(74)(73)(72)
尽くしは同時代の絵師が集まって描き寄せた逸品。

鍾馗と鬼 崖から吊るし 蹴り上げ 懲らしめ。鍾馗様は大人気アイテム。しっかり伝統に即した鍾馗像も然りだが、こうしたヤンチャぶり。(105)(106)(108)

蓬莱七福神山水画の世界で遊ぶ神様。鷹と風神の掛け合い、鬼の恵方詣。とにかく神も鬼もこの世の人間以上に面白く描く。(112)(115)(114)

半身達磨 
弟子ジョサイア・コンドー旧蔵。ゴールドマンさんが55ポンドで初めて買った作品がこの達磨!
(158)(159)(160)

寒山拾得 墨の濃淡、筆の表情を十二分に駆使している。(167)

地獄大夫と一休&ハイカラな三味線骸骨
暁斎の代名詞とも言えるこの画題。
太夫の打掛に描かれた魑魅魍魎な地獄図巻と陽気に踊る一休。
そして何よりこの絵で活き活きしている骸骨たち。生か死のあわい。性のあわい。
(128)(129)(140)

石橋図(木版着彩金泥が見事)
いつも洒脱で滑稽な画風が印象的だった暁斎のこうした絵師魂が新鮮だった。
イギリスのゴールドマンさんがこうした作品を目利きで選び、イギリスへ連れて帰り
そして現代の日本へと架け渡してくれたことに感謝したい。
(171)(173)

展覧会図録はこの厚みで2500円
顧客に合わせ何でも応える万能選手はまさに筆ネイティブ!
酔っても素面でも書画会での万能ぶりが伺える。暁斎人気あっぱれ。
しかも春画も遠慮なく入っている。永青文庫春画展を超えて日本は少し抵抗力がついてきたようだ。
この展覧会は18歳未満おことわりもしないし、会期中無休という太っ腹企画である。

なお全国巡回予定の暁斎人気。
どれも美術館によって暁斎の魅力をどう仕立てるかが興味深い。
4月22日(土)〜6月4日(日)高知県立美術館
6月10日(土)〜7月23日(日)美術館「えき」KYOTO
7月29日(土)〜8月27日(日)石川県立美術館