特別展没後50年記念川端龍子―超ド級の日本画―(前期)@山種美術館

特別展 没後50年記念川端龍子―超ド級の日本画―」として山種美術館大田区立龍子記念館と連携して開催する展覧会。
前期 6月24日〜7月23日 後期 7月25日〜8月20日 (会期中、一部展示替えあり)

  今回は前期に内覧会があり、特別に作品撮影の許可を頂き参考までに画像を載せたい。(番号は作品リスト番号)

 日本画家である川端龍子(かわばたりゅうし)の人生と作品を丹念に追う。
 洋画や挿絵の時代、鯉が大好きで、俳句を愛し、家族を大切にした姿も見せてくれる、新たな才能を知る。
 明治から大正、昭和初期にかけた作品は、戦争中であることを忘れる豊かな日本画がある。そして戦後も共にあった。
 川端龍子といえば、「会場芸術」宣言をする程のスケールの大きな日本画家という印象だ。この山種美術館で展示できるのか心配したが、前期・後期と入れ替えを行えば大きな屏風も収まる訳だ。 
 今回は「大田区立龍子記念館」所蔵作品と連携しており、1人の作家を知るには良い機会である。 山下裕二先生が「RYUSHI」と敢えて名前をローマ字で書き「超ド級日本画」と名ネーミングをした理由がわかる。

 とにかく実際に会場で実物を見て、そのスケールを体感しなくては、何も語れない。後期もまた足を運ぶつもり。


20 花鳥双六(『少女の友』第10巻1号付録)1917(大正6)年出版 多色刷木版 
 画才があり洋画家を目指していた龍子だが、早くに家族を持ち生活のために、ジャーナリズムの場に身をおき、挿絵画家としても仕事をする。ユニークでナンセンスな挿絵もある。これは「少女の友」付録の双六を見る事が出来る。大正時代の付録が存在して見れるだけでも大きな発見。

 1929(昭和4)年、川端龍子は独自の青龍社を立ち上げる。その青龍社第1回展覧会図録、ポスターも展示されている。


21 「鳴門」(部分) 1929(昭和4) 山種美術館 〇ダイナミックな群青色の大波がうねり、波しぶきが飛ぶ。


24 「草の実(部分) 1931(昭和6) 大田区立龍子記念館 〇紺地に金泥、焼金、プラチナ泥などを使い分けながら、草の逞しく美しき生命力を描く。


27 「龍巻」1933(昭和8)年 大田区立龍子記念館 〇真逆様に天空から魚が降ってくるような構図にしたセンスに驚かされる。


30 「花の袖」1936(昭和11)年 山種美術館 〇八ツ橋など琳派を思わせながら実は豊かな花弁の表情と奥行を持つ妖艶な印象がある。


31 「香炉峰」1939(昭和14)年 大田区立龍子記念館 〇龍子自身が中国大陸の上空を飛行体験による。この大画面では中国の壮大な山脈を描きながら飛行機を半透明にして迷彩色を思わせるデザインとなっている。なんと操縦士は川端龍子自身!


32 「五鱗」1939(昭和14)年 山種美術館 前期 〇龍子は鯉が好きで好きで堪らないらしい。五匹集まる姿を活写している。一匹朱色が混じることも面白い。


34 「爆弾散華」1945(昭和20)年 大田区立龍子記念館 〇あの昭和20年夏の東京、川端亭の野菜が実る庭先にも落ちた経験から描く。金を蒔きながらも鮮烈な体験を絵画に昇華させた。


35 「百子図」1949(昭和24)年 大田区立龍子記念館 〇挿絵画家として活躍した経験から、愛らしい子ども達の姿を描くのはお手の物。上野動物園に戦後、インドから象インディラが贈られる。その姿を大きな円に象を囲む子ども達の様子を描く。

37 「夢」1951(昭和26)年 大田区立龍子記念館 〇平泉で奥州藤原家のミイラが発見された記事から着想を得て描いた作品。棺から蛾が舞い出る幻想的な作品。

38 「花下独酌」1960(昭和35)年 大田区立龍子記念館 〇なんでも自由に活写する腕前で自画像のような河童が花咲く樹の下で独り酌を傾ける贅沢な境地。

40 「白堊と群青」1962(昭和37)年 東京美術倶楽部 〇旅行した際のスケッチから青空に白壁の館、そこに孔雀が雄一羽、雌二羽が屋根に留まる美しい姿を描く。

 
47 「鯉」1930(昭和5) 山種美術館


52 紙製手提げ袋(龍子絵付け) 〇孫の工作に祖父川端が描いた合作で家族への愛が感じられる。


「短冊」大田区立郷土博物館ほか
龍子は俳句も嗜み松尾芭蕉と同じ行程で旅に出たり行動派。
俳句の短冊もいくつか展示されている。


73 松竹梅のうち「竹(物語)」1957(昭和32)年 山種美術館 〇竹取物語を意識して筍から光が!ファンタジックな一面。


74 「十一面観音」(部分) 1958(昭和33)年紙本・墨画淡彩 大田区立龍子記念館 〇信仰心が篤く自邸にも仏堂を作っていたそう。

 後期作品の見どころはチラシやポスターでも紹介されている作品。後期もぜひ行かねば。
36 「金閣炎上」1950(昭和25)年 東京国立近代美術館 
33 「八ツ橋」1945(昭和20) 絹本金地・彩色 山種美術館 

 夏の暑中見舞いに相応しい「鳴門」のグリーティングカード山種美術館の名品がお土産として持ち帰ることが出来る。
 
また今回の和菓子は、夏らしく涼やかな色合い味わいがあるのでお勧めしたい。