没後50年大回顧・板谷波山の夢みたもの の日本陶芸@出

3月23日まで

  板谷波山は何度も出光美術館で展覧会があるが、今回は新しい。
板谷波山の夢みたもの」と題し、波山と同時代の文学や音楽にも触れた解説は美しき作品と協奏曲を奏でる時代背景や文化思想を波山の夢と準えて、展覧会には展示出来ないものを投影した意味で。美術作品から見えないものを感じさせる展示解説、「誠実」「至福」という表現は、詩人柏木麻里さんから新たな美術観を教わる。
波山はすべて全力で果敢に挑み続ける感じ。器を誠実に彫り至福なる釉薬をかける過程そのものを愛する印象。だから出光佐三氏が命乞いした茶碗は稀有な存在かも。「銘 命乞い」は見事な旭日のごとき紅が空に浮かぶような色合い。波山はそこに小さな疵を見つけて処分するところだったというから、目利きが留めてくれて本当に良かった。御陰で私たちはガラスケースの向こうにまみえる幸福がある。