夏目漱石の世界芸術展@東京藝術大学美術館

 「夏目漱石の世界美術館展」は、主催者より特別に撮影許可を頂き会場風景を掲載する。

 この展覧会は、夏目漱石が文章で表現した夏目漱石の脳内世界を美術作品で再現してみようという試み。展覧会のキュレーションとして古田亮教授の試みを面白い。また序章の解説文は洒落ているので、どうぞ味わってほしい。
 ぐるりと回って感じた展覧会の印象は「口は悪いが文は巧み。絵は下手だが書は見事。我輩は猫で始まり猫に終わる、文学と美術で二度おいしい。」

序章 吾輩が見た漱石と美術
『吾輩ハ猫デアル』
上編 
中編
下編

第一章 漱石文学と西洋美術
夏目金之助が渡英したのは1900年(明治33年)
タ−ナ−「金枝」


夢十夜
『倫敦塔』と『韮露行』

第二章 漱石文学と古美術
渡辺崋山『黄梁一炊図』

虞美人草図屏風≫を6月15日(土)限り、特別に逆さにして展示するという。
虞美人草
銀箔を使った新井経氏は、抱一が描いた100年後に夏目漱石が見ることを考えた という。
艶やかな銀色はいつしか酸化していぶし銀となることを。

文展屏風

第三章 文学作品と美術
この章では『草枕』『三四郎』『それから』『門』

グルーズが描く少女 オラブリユアス!(voluptuous)
ウォーターハウスの人魚

第四章 漱石と同時代美術

第五章 親交の画家たち

正岡子規
日本でと正岡子規『あづま菊』 死期を延ばし病床に望み与える意味でも。

第六章 漱石自筆の作品


お世辞にも巧いとはいえないが良く描いている。
展示解説からして「密林の点描は窒息しそうだ」とか「炒り豆のような桃の花」とか
辛辣は漱石並み。

第七章 装幀と挿絵
装丁
大きく3つに分けられるという。
橋口五葉の時『吾輩ハ猫デアル』から『門』まで
自装期は『こヽろ』『硝子戸の中
津田青楓は『道草』『明暗』

 ターナーもウォーターハウスもビアズリーもあのイギリスの時代をよく集めてきた。
これだけで来てたら、漱石が好きであろうが嫌いであろうが、行く価値は大いにある。
もしも、ミレイの「オフィーリア」があったならば、『草枕』は完璧だ。

 広島県立美術館を経て、現在は東京藝術大学図書館で7月7日まで開催している。
なお、7月13日から8月25日までは、静岡県立美術館で開催される。

夏目漱石と日本美術