セザンヌ−パリとプロヴァンス展@国立新美術館

セザンヌ−パリとプロヴァンス」展
2012年3月28日(水)〜 6月11日(月)
10:00〜18:00まで(金曜日は20:00まで)
国立新美術館企画展示室1E(東京・六本木)

特別協力にオルセー美術館、パリ市立プティ・パレ美術館があり多くの出品がある。
今回の内覧会では、特別に主催者の許可を得て撮影した会場内の画像。

六本木、国立新美術館で開催中の「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展(6月11日まで)国内外から結集したセザンヌ作品だけで構成される「セザンヌ展」。
セザンヌ−パリとプロヴァンス」展

キュレーターの林綾野さんをお迎えして、実際に描いたフランスの場所をくまなく旅した視点から「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展の見どころをお話くださる。

セザンヌの住んだ場所はほぼ全部行って来たそう。綾野さんにとって、距離が縮まらない画家であり、作品の説明も釈然としなかった。しかし、今回のフランスの旅で住んだ場所、描いた場所を巡ってわかった。

セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち』林綾野
セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち

林檎とサントヴィクトワール山にこだわったセザンヌの心裡を、現地取材と作品から解き明かす美術エッセイ。林檎と南仏のレシピ収録!

初期の作品に卵や玉ねぎがあるが、おいしそう!に描く事よりあくまでモノとして描く造形美として捉えているかも。下手くそだけど初期の作品は一生懸命描いてまだ模索している作品。

坂があり次元的な場。ずっと構図にこだわったがセザンヌです。モザイクを敷き詰めて行くように描いている。近くで筆の感じを観て。

ジャス・ド・ブッファンの大広間と連作「四季」

セザンヌが生涯に何度も訪れた場所レスタック。基本的にパリとプロヴァンスを往復(20回以上も)。しかしそれ以外は個人的な旅行は全くせずに、特定の場所にこもって描くタイプの画家がセザンヌ

「首吊りの家」もだが、坂になっている場所を好んで描きました。暗いタッチの作品は影を暗い色で描くが、この作品では、明るいタッチで影を描く。
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太陽の輝きや風の揺らぎよりも、あくまでも構造に重きを置いて描いた人。

セザンヌといえば、サント=ビクトワール山。日本の富士山のように堂々とした山の印象をセザンヌの作品から受けるが、現地で初めて見た時は、ただの白い岩山でがっかり。
しかし、しばらく滞在していると時間帯や角度によって見え方が違うことに気が付く。朝もや、昼下がり、夕方はピンク色、毎回違う姿のサント=ビクトワール山が見えると嬉しくなる。一週間でもかなり違って見えた。」
「生涯この山を観ていたセザンヌにとっては単に対象を超えてしまった山。セザンヌの良さを伝えるのが難しいが、これだけ人を惹きつけるのは、人の心にある原風景を紡いでいるからかも。時間ごとに移り変わるそれぞれのシーンを描いたモネに対して、セザンヌは全ての時間帯や想いを一枚に封じ込めた。この場所ではミストラルの風を感じられる。


生涯マティスが大事にしていたセザンヌの沐浴図
マティスの作品に通じる あの場面。


人物画ヴォラール画商 115回もポーズを取らせて描いたそう。色にこだわり、こだわりぬいた人。


「りんごとオレンジ」1899年 オルセー美術館
「ひとつのリンゴで世界を変えてみせる」
今までの展覧会でもたびたびセザンヌを近代絵画の父として画家が敬愛する。
何か良いのか、私は好きな理由は、描きたいものを全部画面に入れているところ。
「見たままに描く」だけでは見えていない三次元の限界を二次元で実現しているところ

形と色が一体化して響き合っている作品。同じ丸が橙色だとオレンジ、赤色だとリンゴ、それらが集まることで絵の関係性が出来ている。
セザンヌは、リンゴの見えない向こう側を意識して描いていた。平面的に描くのではなく、見えない部分も常に念頭に置いて描いていた。
セザンヌのこうした部分に、ピカソマティスが素早く反応したのもこの一枚を観れば一目瞭然。
レ・ローヴのアトリエの再現もみどころ。展示されている物はプロヴァンスから実際にこの展覧会のために運んできたもの。


「訪れた際にアトリエの端っこに傘が沢山、小さな椅子、大きなパラソルが置いてあった。いかに外で写生することを重要視してきたかが分かった。」
 
最後は嵐にあい体調を崩し亡くなってしまった。生涯を絵に捧げた人。これだけ絵を描くことにこだわった人はいまい。

「庭師ヴァリエ」1906年頃 テート
身近な一人を描いた作品。色はセザンヌにとって大切なこと。セザンヌ作品は印刷物にするとみな色が微妙に違い本物の色を出すのが困難だった。是非会場で本物を観てほしい。

グッズもとてもセンスが良くてプレゼントに良いのがたくさん♪
リンゴがデザインされたシャツもステキ。
本物のセザンヌに会えたら、こんな変容するデザインもお持ち帰りしたい。