「かけらの記憶、泉」手塚 真梨子 展@あかね画廊

「かけらの記憶、泉」手塚 真梨子 展@あかね画廊
2012/4/9(月)〜2012/4/15(日)
11:00〜18:30(最終日は17時まで)
東京都中央区銀座4-3-14筑波ビル

はじまりの季節に出逢うのは
過去と今

つながって、心強い気持ちになりました


夜中に音がよく響く
静かに、のびていく感じ
一緒に
記憶がひろがって

日々のかけらをあつめたら

言葉より

 2010年グループ展「絵本とファインアートのあいだに」(銀座 ギャラリー枝香庵)
最終日に駆け込んで見せてもらい、小さな作品を頂いてから、少しずつ画風に変化が見られる作家さん。

 とても愛らしい方なのですが、初個展の作品には驚きました。画廊全体がお話の装置になっていて、舟が出る場面から会場右手に物語が始まるのです。それぞれぐるりと回って、お話を伺ったところ、一冊の絵本を手にされて、物語を語ってくれました。
 あまり多く見てはいないけど、画廊全体を使って全部の作品が繋がって、物語になっているという個展は初めて出会いました。そういう贅沢な製作も素晴らしいです。
舟が旅をして、さまざまな場所に行きます。森に入ったり、階段を下りたり、歩いたり、門をくぐったり。とりわけ心引かれたのは、大きなガラスびんがあって、さまざまな「かけらの記憶」が入っていて、それが様々なお話に変わっていく箇所などとりわけ惹かれました。

 また、水色の靴が印象的でしたが、手塚真梨子さん自身が実際にその水色の靴を履いていて、すっかり物語の住人でもあり、この物語の語り手でもあるのです。
 小さな門、そして大きな「水門」が現れます(100号サイズ)それは今、まさに舟が水門を開けて進もうという場面。水がとても美しく、赤と白、青のその印象がとりわけすがすがしい気持ちにさせます。その右上には月。

 やがて宝箱を見つけます。そして、赤と青の人が現れます。その間で手塚真梨子さんを撮影させていただきました。

 非常に潜在能力を感じる、希望に満ちた作品で物語が作られています。
素材も様々で、そのリズミカルな空間は実際にこの会場でしかないものです。

 これからも変化して成長し続けていくのではないか、素晴らしいストーリーテラーになる予感がする作家さんです。
 絵本はすべて手作りで、一冊一冊、番号が違う名前が入っています。私は 35番でした。その数字との出会いも御縁です。