もてなす悦び〜ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会@三菱一号館美術

『もてなす悦び〜ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会』
 2011年8月21日(日)まで
三菱一号館美術館

 とにかくかわいらしい印象を受けるのは、器をリズミカルに配したデザインのせいか
オリジナルグッズのメモもかわいい。山下政彦デザインのせいか、タイポもキュート
おかげで「もてなすび」など読み間違い多発!
私は「悦なもびすて展」と読みそうになるくらい。

 この展覧会では、2011年春デイヴィー・コレクション収蔵された。デイヴィー夫妻がオークションを通じて蒐集したジャポニズムの視点でのコレクションが紹介される。

 19世紀末万国覧会を通じて、欧米で起こった「ジャポニスム」現象の流れの中で、日本的な要素を取り入れながら
独自のスタイルで創り出された陶磁器などが会する。
ヨーロッパやアメリカで受容されたジャポニズムによるお茶会などおもてなしの心を作品と共に紹介する展覧会。
19世紀後半のロンドン、パリ、ニューヨーク。新興富裕層の台頭がめざましい欧米の各都市では、今まで一部の王侯貴族のものであった陶磁器が、工業製品化されることでデパートでジャポニズムの魅力を紹介し買うことが出来た。

 会場では、入ってすぐに、ティファニー朝顔をモチーフにしたガラスが配されて、涼感を感じる。
中ほどにお茶会はテーブルウェアショーのごとく どのテーブルも魅惑のおもてなし。またジャポニズム意匠の愛らしいテーカップが一列に並ぶ長い長い展示ケースは素晴らしい。ルーシー・リーの展覧会以来のかわいらしい展示方法。

 日本趣味が欧米ではこんな風に受容され変容されていく過程を見るのは面白い。シノワズリーという青と白の陶磁器が愛されて、また有田焼や柿右衛門伊万里なども魅了されていた。これを欧米の陶磁器業界が真似しようと創意工夫し、やがて独自の魅力を作る。この欧米のジャポニズムが拡がると、逆輸入されて日本の陶磁器業界もまた欧米のスタイルを取り入れ、また変容する。陶磁器、そして工芸品は常にお互いの文化が影響し合って面白い。

 図録は出品一覧もカラー図版で見やすく、若手研究者が数多く執筆している。また、岡部昌幸氏(帝京大学教授/ジャポニスム学会理事長)の解説も読みやすい。

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 こんなジャポニズムのお茶会にお呼ばれしたいもの。