レンブラント 光の探求 闇の誘惑@国立西洋美術館

レンブラント 光の探求 闇の誘惑@国立西洋美術館

6月12日まで連日無休で開館
 レンブラントを体系的に知ろうと、熊澤弘先生の講義を聴講することにした。
Kadokawa Art Selection  レンブラント  光と影のリアリティ
そして和紙に注目することや全体像をこれで予習。
もっと知りたいレンブラント―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

 レンブラント 構成は同時代の版画家や作家から導入し、若き作品と自画像から多彩に版画に及ぶ。何度か見てきたが、来るたびに版画の奥深さにじっくり画面に張り付いて鑑賞する作戦に変えた。 レンブラントは油絵でも版画でも、それぞれの質感に対してタッチを変えて豊かな表現をしている。

 版画が多いが見どころは2つ
1.同じ作品の版画の紙による違いに注目 高価な和紙の効果
レンブラントと和紙
《ヤン・アレイセン》(040)-(041)
《ヤン・シックス》(042)-(043)
《柳の側の聖ヒエロニムス》(045)-(046)
《病人たちを癒すキリスト(百グルテン版画)》(049)-(050)
《書斎の学者》(051)-(052)
《エジプト逃避》(054)-(055)
《イタリア風景の中の聖ヒエロニムス》(056)-(058) 和紙・オートミール紙・洋紙
《キリストの埋葬》(059)-(060)
《金細工師ヤン・トルマ》(061)-(062)
《説教をするキリスト》(064)-(065)
《薬剤師アブラハム・フランケン》(066)-(067)
2.同じ作品の「ステート」の違いに注目 作品だんだん変化して.. 
《3本の十字架》(116)-(119)
《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト》(120)-(124)
レンブラントのコレクション―自己成型への挑戦

 一見すると、黒だけ画面にも見える版画の中に非常に緻密に刻み込まれたり、軽やかな細い線の先には光を浴びた人物がいたり、版画は見れば見るほど深く見えるようで見えない。
 今回は紙の違いによってインクの乗りが変化し、同じ版なのに全く違う印象を受ける事に驚く。
「ステート」という版違いの事を今回初めて知り、同じ絵だったはずなのに改変を加える事で全く別の物語になる過程が見えた。いつもわかるようでわからない版画の技法もとうとう「ポケットガイド 西洋版画の見かた」を手にして、エンクレーヴィング、エッチング、ドライポイントという手法を知る。同じ画面にこれらの技法を組み合わせることも今回知る。「比較する」という楽しみ方ができる 貴重な展覧会だった。
 
 レンブラントハイス美術館のパンフレットが出口に置いてある。その《サスキアを伴う自画像》(92)が拡大されているが、銅版画の線は自由縦横に駆使され、ペン書きの如く鮮やかで軽やか。実に巧みに絵になるのが面白い。
レンブラント―フォルムの素描家
 こうしてみると、国立西洋美術館レンブラント版画をよく収集していると思う。