ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長、歌麿、写楽@千

ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長、歌麿写楽千葉市美術館

2011年4月26日(火)〜 6月5日(日) 会期中無休
観覧料一般1000円(800円)大学生700円(560円)
小・中学生、高校生無料
※( )内は前売券、団体20名様以上、および市内在住60歳以上の料金
※前売券はローソンチケット(Lコード:36836)、千葉都市モノレール千葉みなと駅」「千葉駅」「都賀駅」「千城台駅」の窓口(6月5日まで)にて販売。
開館時間 日〜木曜日 10:00〜18:00
金・土曜日 10:00〜20:00
※入場受付は閉館の30分前まで


ボストン美術館所蔵浮世絵展@千葉市美術館

 全国巡回の浮世絵展でそれぞれの会場で展示を工夫されただろう。
ちょうど東京国立博物館写楽展があり、あちらで写楽を予習しておくと、わかりやすく楽しめる。千葉市美術館は浮世絵所蔵と研究がしっかりしており、そのせいもありわかりやすく展示している。
 
 ボストン美術館に所蔵される浮世絵の中でも、最も華やかに錦絵が展開した天明・寛政期(1781-1801)を取り上げ、鳥居清長(1752-1815)、喜多川歌麿(?-1806)、東洲斎写楽の名品を中心に、同時代の浮世絵師の作品を加えた約140点を展示します。ボストン美術館の幅広い浮世絵コレクションだからこそ可能な、スター浮世絵師たちによる錦絵の華麗な競演。

■鳥居清長
(11)「雛形若葉の恋模様 あふきや内たき川 しをり つまき」扇屋人気の滝川の打ち掛けは孔雀の羽根付!大胆な
(15)「美南見十二侯」九月 遠景の漁火まで続く夜景を表現する 摺りが見事。 
(16)「風俗東之錦」春の野遊び 揚帽子をかぶる武家子女も描く天明の頃。庶民のお楽しみだった浮世絵が武家にも愛されたのだろうか。
(17) 「風俗東之錦」萩見 若侍に寄せる恋心を 風でたなぎく裾でも表現しているのが面白い。
(23)(24)歌舞伎役者のみならず後方の常盤連中も似顔で描くあたり。人気
(25)天明7年の《義経千本桜》に取材。舞台上では実現しない三人揃いを見事に画面で見得を切らせて配置したそう。「五代目団十郎横川覚範 三代目沢村宗十郎狐忠信 中山富三郎静御前

喜多川歌麿 今回の展覧会では一番多く充実。
版元・蔦屋重三郎とのコンビと思ったら意外にも数多くの版元から出ているよう。人気ぶりが分かるが、その分調子付いて歴代武士滅多切り、七福神ちゃかし過ぎ、茶屋美人シリーズでは随分と寛政のお触書で苦労したけど判じ絵は楽しい。
(62)虚無僧姿の男性の黒衣を下から見上げると模様が浮き出る。“正面摺り”という。女性は白で“空摺り”
(49)「福禄寿、弁天、布袋の年賀の宴」(88)「七福神座敷遊び」など福禄寿あの禿頭にヤカンを乗っけて着物着て..もうたまらん助平爺。(と思ったら8階から降りる階段に立っていた!
(50) 「青楼仁和嘉女芸者 茶せん売 黒木売 さいもん」名前をつけることができず、紋に入れるなど粋な工夫で
(51)「吉原仁和嘉 荻江松蔵 峯 いと」今回千葉市美術館のポスターとなっている。艶やかな蝶と三人。
(60)「丁子屋内雛鶴 つるし つるの」葡萄柄 すごい事に立体的な葡萄の葉を着物に縫いつけている!
(63)-(66)青楼十二時 丑の刻、寅の刻は真夜中。闇夜を暗示する摺りがうまい。
(71)「高名美人六家選」あの茶屋ガール難波屋おきたちゃん 彼女の名前を直接的には摺ることできず判じ絵で。洒落てます。
(79)(80)「忠臣蔵七段目」校合刷と並べて見比べる事が出来る。額装で見えないが 見当や引き付けのあともわかる。
(81)「覗き」母親が幼子をあやす顔を鏡で表現。
 歌麿と関わった版元達 鶴屋喜右衛門、丸屋文兵衛 村田屋治郎兵衛 山田屋三四郎 近江屋権九郎 丸屋甚八 和泉屋布兵衛 松村屋辰右衛門 森屋浜兵衛
東洲斎写楽
ちょうど「写楽展」で活躍を第4期に分類した展示をみたせいか、それぞれの時代が見られる。(千葉市美術館)三代目太谷鬼次の江戸兵衛vs(97)市川男女蔵の奴一平 の対決はその演目の筋を知っていたので、その対峙が効果的な展示に。
勝川春草(117)は団蔵と菊之丞の素顔を描く。鳥文斎栄之(120)「隅田川の船遊び」(122)「川一丸船遊び」 現代でいう東京湾豪華クルージング「シンフォニー」ならぬ。隅田川「川一」屋根船に見事な松を活け、料理もすばらしく、猿回しや人形遣いなど芸能も楽しく、美人揃いの乗客。屋根で漕ぐ男との対比が面白い
歌川豊国(131)「役者舞台之姿絵」ちょうど見得を切る場面を見事に描く。紫紅の色鮮やか。役者を特徴を瞬時に捉えて本質を描いた写楽とは対比的に、役者の美点を描き役者にも庶民にも高く愛された。
五郷(125)「玉屋うら小紫 蔦屋内三しう」黒と紫が見事「紅嫌い」


ボストン美術館に所蔵される浮世絵の中で、最も華やかに錦絵が展開した天明・寛政期(1781-1801)を取り上げる。鳥居清長、喜多川歌麿東洲斎写楽を中心に、同時代の浮世絵師の作品を約140点。
アメリカのボストン美術館は、世界有数の日本美術コレクションを所蔵する美術館として知られる。浮世絵はコレクションの中心であり、5万点にのぼる版画、7百点以上の肉筆画、数千点の版本が含まれ、現在もなお調査整理が続けられています。またその過半は、1882年から8年ほど日本に滞在したウィリアム・スタージス・ビゲローによって収集されたもので、現在日本では所蔵を確認することができない貴重な作品が多く含まれていることでも注目される。
スター浮世絵師たちによる錦絵の華麗な競演

22日はワークショップ多色摺を体験するに参加した。既にボランティアの方が用意してくれていた。版には「引き付け」も「見当」もちゃんと作ってあって、紙がぴったり合うようになっている。
50ルクスのLED照明を採用した展示となる。