レンブラント 光の探求 闇の誘惑@国立西洋美術館

写楽展@東京国立博物館平成館

役者は揃った。その全世界の所蔵から地震直後の東京に勢ぞろいするとは圧巻。展覧会では、約140図、約170枚の作品によって、写楽版画の全貌を構成する。
2011年5月1日(日)〜6月12日(日)
午前9時30分〜午後5時 ※土日祝日は6時まで開館。
ストーリーで楽しむ「写楽」in大歌舞伎 (広げてわくわくシリーズ)
写楽 (別冊太陽 日本のこころ 183)

 今回は歌舞伎演目役者ごとにきちんと紹介されている。今まで浮世絵展覧会といって「写楽」というだけで貴重な存在としてみてきたが、それぞれに役者がいて役柄があり舞台のその場面かしっかりわかる。
 この強烈な個性ある顔で役者を覚えると、後は他の作者が描いても、これは「宗十郎」「菊之丞」とわかってくるから面白い。写楽の特徴的な点は足の親指だろうか。気になると、どの役者の足元も動きとともに気になる…
 同じ作品を比較する事ができるのは贅沢。退色しない写楽がそこにいる。
 今回は浅野秀剛先生が4期に分けて、それぞれ演目ごとに整理しての展示ゆえ、非常に理解しやすい楽しめる会場だった。

第一期
写楽のデビュー作28図。寛政6年5月、都座、お座、河原崎座の夏狂言に取材し、一挙に出版された雲母摺りの豪華な役者大首絵。写楽らしさが発揮された時期で、多くの作品が残っており、当時も人気が高かった。
三代目大谷鬼次の江戸兵衛vs初代市川男女蔵の奴一平「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな」一場面

第二期
 寛政6年7-8月、都座、桐座、河原崎座の秋狂言に取材した作品。すべて全身像大判では一点を除き二人の役者が、細判では一枚に一人ずつが描かれる。

第三期
 寛政6年11月、閏11月、都座、桐座、河原崎座に取材した役者絵、役者追善絵、大童山を描いた相撲絵。細判役者絵には、背景が描かれるようになる。間判大首絵では、背景が黄つぶし。

第四期
四期は、翌年の寛政7年正月の都座、桐座の新春狂言に取材した作品。四期の役者絵は、連続した背景の細判のみが描かれ、形式化。

写楽 (浮世絵を読む)
写楽―江戸人としての実像 (中公新書)
浮世絵は語る (講談社現代新書)

写楽が用いた判型は主に次の3種類(cm)
大判 約39×27
間判 約33×23
細判 約33×16

 千葉市美術館「ボストン美術館浮世絵名品展」では、第一期の対比をちょうど千葉市美術館所蔵の鬼次とボストン美術館所蔵の奴一平で対決されていた。また 鬼次をモデルとしたキューピー「写楽キューピー」が売られているのも面白い試み。東京国立博物館で予習しておくと、今後どの写楽を見てもどの時期か 違いがしっかりわかるとても頼もしい展覧会だった。