池田学「焦点」@ミヅマアートギャラリー市ヶ谷

 興亡史(2006)で初めてミヅマアートギャラリーに足を運ぶ事になった作品。
大きな絵なのに、小さな空間で蠢くドラマが凄くて、もう圧倒されていた。
その頃は小さなリーフレットのみ購入できたので、それを拡大鏡で見ると、肉眼鑑賞では捉えられなかった轟音や歓声が聞こえるようだった。

「小さな部分に焦点を当てて そこから外に広がっている大きな世界を想像する」

 ファンタジー幻想世界というコトバが当てはまりはしないが、作品はジブリ映画と同じようなこの緻密な絵をアニメーションするのは至難の業だが、この絵にして 喚き声や暴走する列車や車の轟音、人々の歓声、風の声、虫達の動く音が聞こえる。
 白い人物が登場して活躍している。動きを追うだけで、眩暈がしそうな楽しさ。相似形や類似を見立て、想像力で変貌していく。この絵に見入っているだけでかなり旅をしてきた感じがする。この作品1枚で豊かな想像の世界に行けそう。

作品は20点 以下は印象。しかし百聞は一見に如かずの言葉通り。これは実物に見入らないと絶対わからないはず。

1.蒸発 大きな客船が倒れた先 
2.氷窟 氷の中に小人が仕事しているの 
3.Gate ポスターになったもの。灯台がある四方の向こう側の世界が気になる。
4.渦虫 こんな虫いたら、どうしようか
5.とぐろ 電車を呑み込む蛇。蛇と電車の相似形を考えたとしたら、楽しい四角形の姿態
6.擬態 これを見て Escherを思い出した。しかも道路がすごろく迷路のよう。一回休み。行き止まり という日本語があるが、知らない暴走する車たち。 
7.Bait 擬似餌が飛行船のよう
8.海の階段 モーセ十戒ではないが、海が分割する。しかもあり得るような。 
9.ふたつの水面 ざわめきあう草の合間から、二つの世界
10.Farmer's tank 水車な戦車 
11.命の飛沫 この生命力、飛沫って こんなに生きている。
12.hospital こんな病院あったらいい。大きな柑橘の実をつけた大木。
13.梅雨虫(Bush cricket) 花の上に大きな殻があるつゆむし 殻をよじ登る
14.Fall line  波間がたキー場に仕立てシュプールを描く 
15.降り積む 降り積むSnowfallは髑髏の山だったりする。確かに「白」は骨の色。
16.波 海と山の相似形 の上を登頂目指す
17.地下の種 樹木の根は岩石や骨をがっちり掴み 
18.爪痕 プリン山のような形に爪痕が残る向こう側に摩天楼の夜景
19.香葬 棺桶が蚊取り線香型に並べられている。運ぶ人、棺桶の死人同士語らう風景 
20.開花 艶やかに咲く花と抜け殻
アクリルペンで描いた作品だったはずなのに、動きまわっているよう。

池田学サインが隠れアイテムのように、それぞれの絵に潜む。それを探すのも楽しい。
新年の時点でかなり○あり。初めて、ギャラリーの絵が欲しい!と思った。とめどなく想像力を生み出す作品。

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池田学画集1

池田学画集1

三瀬夏之介&池田学 トークイベント第78回紀伊國屋サザンセミナーW初画集刊行記念“特別対談”トークイベント
三瀬夏之介×池田学 「現代アートの衝撃波――1973年生まれの新潮流」

現代アートを席捲する、同い年の作家2人による初顔合せ対談
2011/01/14(金)19:00開演(18:30開場)

スケールと画力で独自の世界を切り拓く1973年生まれの現代作家2人が、初めて互いの世界観をぶつけあい、日本や世界のアートシーンを熱く語りつくす記念すべき対談。

日時: 2011年1月14日(金) 19時開演(18時30分開場)
会場: 紀伊國屋サザンシアター
入場料: 1000円(税込・全席指定)