やきものに親しむVIII 茶陶の道 ―天目と呉州赤絵―@出光美術館

やきものに親しむVIII 茶陶の道 ―天目と呉州赤絵―@出光美術館
2010年11月13日(土)〜12月23日(木・祝)

 貿易船ジャンク船の模型が迎え、伝長谷川等伯筆の波濤図屏風や、海路図なども展示され、たくさんの焼物が海を越えて運ばれてきたという雰囲気が伝える、陶磁の道に思いを馳せる展示。

 海の道の困難さ。発掘調査結果は海底に眠る陶磁を映し出す。今回は中国福建省で宋代以降に焼かれた天目や呉州赤絵などが展示される。天目茶碗、油滴天目など

 茶入と茶壺−日本文化が育んだ唐物茶陶、日用雑器として焼かれたものが、日本の茶人の美意識で価値を持ってきた過程。中国からの香辛料や砂糖、薬品など貿易品の容器を、日本の茶人が茶入や茶壺などの茶道具として

 建窯の天目やしょう州窯の呉州赤絵がその代表的なもので、福建と日本を結ぶ交易路は「茶陶の道」でもあった。12月5日までは、大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の国宝、油滴天目茶碗も展示されてた。有機ELで美しい表情を見せる。漆の天目台3個や金襴の仕服など付属品も一緒。縁には金覆輪。
出光美術館所蔵の禾目や油滴も並ぶ。

 呉州赤絵−しょう州窯
「しょう州月港を支配してた国姓爺(鄭成功)が清朝への抵抗戦争の軍資金をしょう州窯製品の輸出から得ていた可能性がある」と説明文にある。
国立劇場で観た歌舞伎 国性爺合戦の和藤内を彷彿した。

 灰色っぽい白の素地に白釉を掛け、赤、青、緑などで絵付けしてある。
釉薬の掛けかたもいい加減で、台や底裏には窯で付着した砂粒が黒く残っている。その作り込みすぎず、のびのびとした自然な姿。学芸員解説では「呉州赤絵のやんちゃなデザイン装飾。人気があったという。」と。
日本海を渡る危険な海の旅路が届けた器たち。ドラマを感じる展覧会。
 
 帰り道に天目茶碗の話題 建長寺のお茶会の話を伺う。
淡交別冊56  天目