日本美術のヴィーナス(後期)@出光美術館

 7月月31日-9月12日

 出光美術館美人画が多く、以前の企画展でも眼の保養が勢ぞろい。
今回は
第1章 清涼美人
「Cool Beauty」は名訳。
普賢菩薩騎乗図》(鎌倉時代)から導入する章。信仰対象は偶像(=IDOLアイドル)でもあった。
《更衣美人図》ポスターに登場する喜多川歌麿筆は、重要文化財。細身の女性の衣が足元で円く配されて美人を引き立てる。

第2章 古雅の幻影
 江戸時代の美人肉筆画だが、古典芸能に題材をおいて「見立て」を行う。美人が描けるなら口実はなんでも...

第3章 美人たちの競演
 菱川師宣《遊楽人物図貼付図屏風》《江戸風俗図巻》など、見所はたくさん。
勝川春章《美人鑑賞図》は、美人が鑑賞している図を鑑賞している私達 という、二重三重と入れ子のような世界観が交錯する。描かれた奥行も不思議で、なんとなく 不思議な国の香り立つ美人達である。

第4章 伝統美と革新のあいだ
 この章が一番充実している。
上村松園、菊池契月、北野恒富、鏑木清方伊東深水小杉放菴
《艶容》《青葉》上村松園ならでは、清涼で凛とした佇まいの女性
《戯れ》北野恒富、青葉の下でカメラを手にして愉しむ芸妓さんを上のアングルから捉える。《いとさん こいさん》対照的な性格の姉妹を見事に描く、茶目っ気のある女性を描くのが得意なのだろうか。微笑ましい。
《墨田河舟遊》鏑木清方(大正期)と、《隅田川舟遊・雪見酒宴図屏風》歌川国久(江戸)との対比も面白い。
 小杉放菴の《天のうづめの命》

 器も美人画にちなんでセレクトされているのが、出光らしい。こういう展覧会は清々しく眼福である。