三菱が夢見た美術館(第一期)@三菱一号美術館

三菱が夢見た美術館 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション@三菱一号美術館
8月24日〜11月3日

 なお頻度高く展示替えがあるため、サイトで確認しておくほうがよいかも。
ジョサイア・コンドル設計を非常に忠実に設計した余り、小部屋に分かれ細分化されたゆえに物議を醸した美術館ではあるが。おおらかな明治時代の人となり、コツコツ音がしない靴で行くのがオススメ。
 章立てはコンドルの設計図から始まり、豊饒なるコレクションを持つ静嘉堂東洋文庫を日本と西洋の近代美術で囲み、コンドルの再現に到達する。これを見た後に、建物を見るとその展覧会への思いを一層強くする。

序章「丸の内美術館計画」

第1章 三菱のコレクション・日本近代美術
(1-5)黒田清輝「裸体婦人像」を評価した第一人者。当時珍しく下部を隠す「腰巻事件」があった。邸宅のビリヤード室に飾ってあったという。
(1-14)岸田劉生童女像」麗子ちゃんがスコッチワンピースを纏う姿。16歳で父を亡くす自身も画家となり活躍したが48歳没。

第2章 岩崎家と文化・静嘉堂
(2-3)(2-5)奈良本「羅生門
(2-11)橋本雅邦「龍虎図屏風」ユーモラスな目をしているためか愛らしい印象を受けた。そこから出る稲妻の光とともに、実際見ることが出来ない想像豊かな世界に現代漫画にも通じる面白さを感じた。
(2-13)唐物茄子茶入 付藻茄子(松永茄子)大名物
その伝来と破片を漆で見事に修復した漆職人の技に感服するばかり。しかし茄子のようにまんまるで本当に魅了する。岩崎が「ツクモ商会」と同じ名ゆえどうしてもいう。
(2-16)曜変天目(稲葉天目)国宝ゆえか十文字に固定されて強いライトのため、初めて観た感激ほどではなかった。光の加減によって印象も変わるであろう。また静嘉堂に戻るそうなので再見したい。

第3章 岩崎家と文化・東洋文庫
古今東西の書物はまさに宝庫。(3-2)平安時代人気だった「文選集註」
(3-8)四しょうの歌合 丹緑本。朱と緑でユーモラスな生きものを描く。ひきがえる・こおろぎのページ。

第4章 人の中へ 街の中へ
橋口五葉Nippon Yusen kaishaポスター。和洋比較すると面白い。
多田北島キリンビール、音声ガイドでは「ビール 飲みませんか」とお誘い。

第5章 三菱のコレクション・西洋近代美術

モネ「プティタイイの岬」ラベンダー、モーヴ、ピンク、緑など美しい再訪の地
ルノアール梅原龍三郎の「パリスの審判」比較は面白い。この時梅原90歳!

終章 世紀を超えて:三菱が夢見た美術館
 丸の内が「三菱が原」と呼ばれる明治36年の絵。皇居傍のこの土地に目をつけたのは先見の明あり。
かなり幅広く盛り込まれており、美術価値だけでなく三菱の歴史を語る品が多く、興味深い。世界に誇るコレクションを成した。岩崎家は事業を展開し、様々な事業 麦酒、海運へ拡大していった。 
日本の財閥の一つであるが、その間に関東大震災東京大空襲など政治社会的な不安や美術品の焼失など乗り越えて、今日まで伝える。一同に会する美術館が出来たのは幸い。

なお前半期間展示の逸品
8月24日(火)-9月5日(日)

曜変天目(「稲葉天目」)》 建窯 大名物
《粉彩菊蝶図盤》

8月24日(火)-9月26日(日)

藤島武二 《書見する女》
藤島武二 《日の出》
和田英作春日山麓》
坂本繁二郎 《二仔馬》
《毛詩》
《楽善録》 李昌齢 編
論語集解》 何晏 編
《四しょうの歌合》
赤本 《したきれ雀》
ジャン=フランソワ・ミレー 《ミルク缶に水を注ぐ農婦》
アルフレッド・シスレー 《ルーヴシエンヌの近郊》
カミーユピサロ 《窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木》
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《麦藁帽子の若い娘》
クロード・モネ 《草原の夕暮れ》

8月24日(火)-10月3日(日)

羅生門(奈良絵本)》
《波留麻和解(ハルマワゲ)》稲村三伯 編
橋本雅邦《龍虎図屏風》
唐物茄子茶入 《付藻茄子(松永茄子)》 大名物
唐物茄子茶入 《松本茄子(紹鷗茄子)》 大名物
《秋草蒔絵謡本箪笥》