ノーマン・ロックウェル@府中市美術館

ノーマン・ロックウェルオールディーズ、そして愛しき素顔たち
@府中市美術館

府中市美術館が興味深い展覧会をしている。
ノーマン・ロックウェル アメリカの肖像 [DVD]
ノーマン・ロックウェル★THE RUNAWAY・家出★サタデーイブニングポスト誌★アメリカンブリキ看板

 ノーマン・ロックウェル オールディーズ、そして愛しき素顔たち @府中市美術館
アメリカに愛された国民的イラストレーターのロックウェル。サタデーイブニングポストに21歳で抜擢され、以来数多くの表紙を飾ってきた画家。
そのノーマン・ロックウェルミュージアムは今も 様々なイベントがあり賑やか。いつもアメリカの夢を体現してきた。

 古き良き時代のアメリカの理想的な姿を描いたと言われるノーマン=ロックウェル。ロックウェルの絵と、現代の報道写真家のケヴィン・リヴォーリ(Kevin Rivol)
の写真がテーマごとに対応して配置される。

In Search of Norman Rockwell's America

In Search of Norman Rockwell's America


ロックウェルとリヴォーリの 素敵なコンビであるならば、そちらの面でも紹介するべきだったろう。
「古き良きアメリカ」というノスタルジアアメリカ風景という理想ではなく、今の現実でも日常的に起こっているのだよと、現代のリヴォーリはカメラを通じて再現してくれる。 決してヤラセではなく、じっくりその瞬間を待つという意味で、ロックウェルを敬愛してその絵を呼応させる写真を見せるリヴォーリの写真も魅力的。
二人ともよく練られた、一緒に物語を味わうような見事な情景を目にして、ついつい微笑んでしまう。

Norman Rockwell: 332 Magazine Covers (Tiny Folio)
彼自身の少年時代も反映されていて、犬を連れている、足の親指を怪我している少年がいたら、きっとノーマン。この絵の足元みて!

 愛すること、恋すること、家族や仲間 そういった温かな情景を描くのがうまい。

(以下は上映DVDより)
 彼は描くにあたって構図を決めるのが一番大変らしいが、イブニングポスト編集部のOKをもらうと、大道具小道具を集め、表情が豊かなモデル達を集め、そうして映画の一こまを撮るように場面を撮影するそうだ。
モデルに来た子供にまず一言「君は眉毛が上がるかい?」、そうやって自身もやってみせてリラックスさせるそう。
それでも撮影したものをそっくりそのまま描くのではなく、彼らしいエッセンスを加えるのも粋なこと。じっくり見ていると、その細やかな演出ぶりには舌を巻く。
ボーイスカウト連盟やペンキ宣伝など、必ずその中に幸せな物語を盛り込むのが、ロックウェルらしい。床のペンキを塗りかけのパパが愛娘の人形のベッドを塗りなおしてあげているなど、配慮が細やか。背景となる小道具も全て意味があるのが、面白い。
一番手がけた中で時間がかかったのが「ゴシップ」モデルが違う顔を2種類、最後をどうするか苦慮し、結局 噂の張当人が、ゴシップの言い出しっぺ本人を叱るという話にしたそう。ぐるりと廻っているのが愉快。

 知人は当時の「サタデーイブニングポスト」を大事に残している。当時アメリカではどの家庭のテーブルやタンスの上にあった雑誌だという。そんな雑誌黄金時代であるのも懐かしい。
府中市美術館までは、京王線府中駅から8番線の「ちゅうばす」に乗ったが一時間に2本なので時間確認した方が良い。帰りの美術館前バスも。バス賃100円ずつ。

追記:
 知人が当時「The Saturday Evening Post」を持っており、今回美術館に寄贈してきたそう。当時アメリカでは誰もが読んでいた雑誌で、古本屋で安価で売っていたそう。
 今回は借り受けるのに膨大な保険がかかったそうだ、アメリカの誇れる至宝なのだろう。
 The Saturday Evening Postにロックウェルの特別サイトがある。