医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る@森美術館

2009年11月28日(土)〜2010年2月28日(日)
10:00−22:00(火曜のみ17:00まで。但し、12/22(火)、12/29(火)は22:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
※会期中無休

科学と芸術が出会う場としての身体
医学と芸術展の扉を開けば、キュートなピンク色の心臓の鼓動が聞こえる。
 会場の様子はFrickrで味わえる。

 森美術館は、古今東西の美術をキュレートする技が素晴らしい。開館記念「ハピネス展」をも思わせる。今回も、芸術と医術という人間の手による技が世界各国から訪れる。
ヒポクラテスの時代から現在まで。人間の身体を扱いながらも、それは生死の境界にあり、美醜、若老などあらゆる面で斬り込んでくる。
 応挙、ダ・ヴィンチ、ハーストと名付けているが、名もない 世界中の人体図も興味深い。チベットネパール、ペルシャの人体図など興味深い。

臓器をモチーフにした作品。
第一章 身体の発見人間がどのように身体のメカニズムとその内部に広がる世界を発見してきたのか
その科学的探究の軌跡と成果を多数の歴史的遺物で辿る。

レオナルド・ダ・ヴィンチ―芸術と科学を越境する旅人

レオナルド・ダ・ヴィンチ―芸術と科学を越境する旅人

体の中の美術館―EYE,BRAIN,and BODY
レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖素描画。三点展示されているが、あまりに精巧ゆえ後ろに大きな展示パネルで解説される。
黒チョークとインクの脳。生命の樹木のような肝臓血管。
ダ・ヴィンチおよびミケランジェロの解剖図、世界各国の解剖模型、身体図
円山応挙の波上座禅骸骨図。河鍋暁斎の座興 骸骨図。男性と女性を描き分けている。見所は精子卵子、鎖骨。
フランシス・ベーコン、クエイ・ブラザーズ、松井冬子
痛みが美に変わる時~画家・松井冬子の世界~ [DVD]
今回は「無痛の標本」今までになく鮮やかな群青を感じた。

第二部 病と死との戦い
人間が老いや病、そして死をどう捉え、いかに抗ってきたか。医学、薬学、生命科学の発展の歴史く、老や病、生死についての様々なイメージ。

「解体新書」をはじめとする医学書、歴史的医療器具、医療をテーマとした絵画
ル・バルビエ「老人ホーム」、マーク・クィン、やなぎみわ

第三部 永遠の生と愛に向かって
最先端のバイオテクノロジーサイバネティクス、そして脳科学に基づく視点。人間はなぜ生と死の反復である生殖を続けるのか、人間の生きる目的や未来を読み解くことは可能なのか、そして生命とは何であるのかを、医学資料やアート作品を通して考察。

デカルトの素描、フランシス・クリック直筆DNA(遺伝子)の二重螺旋構造の素描。
ヤン・ファーブル、ステラーク、パトリシア・ピッチニーニ
解剖の時間―瞬間と永遠の描画史

会場で見かけた美女。鮮やかな色彩の蜷川実花デザイン、キラキラ光るLED 彼女はGIMICOさんという。義足であることをむしろ美しく魅せる。
島根に中村プレイスという大変丁寧な義肢をつくる企業がある。
「基本は人を大切にすることだと思っています。メディカルアートのような芸術性をもった製品を作ろうと努力をしています」中村俊朗
芸術は人間を模倣して更に超えていく。

 この展覧会は残念ながら一度ではわかりにくい。
レセプションで主催者より「この展覧会刺激的では女性の方が得意かもしれない。私は三度廻ってやっと面白さがわかった」。
 年間パスポートを購入する予定。いやべネファクターでも十分元が取れるといわれたのも納得できる。このスケールの大きさは森美術館の強み。何度か通う必要がありそうだ。