速水御舟-日本画への挑戦ー展@山種美術館

2009年10月1日(木)〜11月29日(日)
午前10時から午後7時 (入館は6時30分まで)
休館日: 月曜日(10/12、11/23は開館、翌火曜日は休館)

 山種美術館が広尾に移転して最初の企画展覧会。
昭和41年に日本橋兜町ビル内に日本画専門の美術館として開かれていた頃から。
 今回はビルあっての美術館で、地下空間が美術館となる。
エントランス入ってすぐにcafeスペースや映像コーナーなどがある。パーテーションで区切りをつけた空間は自由度が高いが、折角美しい空間なのに使い勝手が悪いことが開館後に判明したような印象も受ける。
 しかし、収蔵品の充実度はあまりあってすばらしい。今回の展覧会はほぼ山種美術館所蔵品をもって構成する。
 展示室1は、ぐるりと巡回して楽しみ。ギャラリーショップを味わいつつ、赤い間接照明を右折しての展示室2狭いながらも良品をじっくり鑑賞する特別の間なのだろうか。

 速水御舟の予習はこれで完璧
もっと知りたい速水御舟―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
速水御舟―日本画を「破壊」する (別冊太陽 日本のこころ 161)

 実際に「炎舞」を見ることが出来たのが一番の幸い。
≪炎舞≫(重要文化財)初めて見る作品。蛾の羽がぼかすように描かれているせいか、炎の上でまさに飛び交う 幻想的な世界。闇夜だからこそ美しくたち昇る火焔。蛾を見ると、美しい夜の女性を思う。
≪名樹散椿≫(重要文化財)丁寧に仕上げた金地(撒きつぶし)に中央たっぷり繁る椿の枝と華やかな椿(サザンカ)。
≪桃花≫丁寧な小品。金地に立ち上がるように立体陰影のある桃の花がぽっと咲く。
≪春昼≫土間の向こう吸い込まれるような闇。穏やかな春の昼光の光景だけに一層深く感じる。
≪昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯≫展示解説を見てなるほどと思う。拡がる蜘蛛の巣、光に収斂されていく蛾。蜘蛛の巣に散らす胡粉がキラキラと朝露を受けた巣のように美しい。
≪翠苔緑芝≫平面の空間美がよく配慮されたもの。紫陽花の花・ガクが美しい。群青とひび割れた胡粉の表情。下絵では朝顔の鉢だったがツツジに変更されている。さもありなん
オリンピアス神殿遺址≫羅馬展出品とともに横山大観らと渡欧し各地をデッサンして廻る。
≪牡丹花(墨牡丹)≫この墨色の豊かなこと。葉に極彩色を施すとは。花に紅をさす画家は多いけれど。
≪あけぼの・春の宵≫ 群青紙と朝鮮 紙を使い分けて二つの景色を描き分け。

梯子の頂上に登る勇気は尊い。さらにそこから降りてきて、再び登り返す勇気を持つ者は更に尊い。大抵は一度登ればそれで安心してしまう。そこで腰を据えてしまう者が多い。登り得る勇気を持つ者よりも、更に降り得る勇気を持つ者は、真に強い力の把持者である。

絵画の真生命―速水御舟画論

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