冷泉家 王朝の和歌守展@東京都美術館

冷泉家(れいぜいけ)時雨亭叢書完結記念 冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展
The Reizei Family: Keepers of Classical Poetic Tradition
2009年10月24日(土)〜12月20日(日)
※作品保護のため、前期と後期で全作品を入替
前期:2009年10月24日(土)〜11月23日(月・祝)
後期:2009年11月25日(水)〜12月20日(日)
午前9時−午後5時(入室は午後4時30分まで)
休室 月曜 
東京都美術館 

2010年4月17日(土)〜6月6日(日)
京都文化博物館
〒604-8183 京都市中京区三条高倉

平安私家集 (冷泉家時雨亭叢書)
 朝日新聞社が出版する「冷泉家時雨亭叢書」が84巻で無事完結を記念した展覧会。
御文庫(おぶんこ)」京都・冷泉家邸内にある貴重な書物、古文書類を収める土蔵「御文庫」は、災禍から免れ、歴代が800年の歴史の中で収集してきた古典籍を現代に伝える「奇跡の文庫」とも呼べる。
芸術新潮 2009年 11月号 [雑誌]
この『芸術新潮』は書にも冷泉家にも初心者に親切な入門書だ。山口晃氏の冷泉家物語も興味深い。
冷泉家・蔵番ものがたり 「和歌の家」千年をひもとく (NHKブックス)
京都冷泉家の八百年 ~和歌の心を伝える
 多くの平安・鎌倉時代の書が数寄者と呼ばれる好事家によって切り刻まれ、「切」として貼り込みや表装された運命を逃れ、当時の装丁のまま残っているのは本当に奇跡的。しかも勅選集に選ばれる前の「私家集」がたくさん。まるでレコード会社に売り込む未来のスターたちのデモテープが並んでるようなもの。
 当時の彼らの息遣い、心がそのまま投影されているような直筆の数々。とにかく溜息もの。
筆運、その歌の上手い下手もあるだろうが、
 著者未詳が多いのは仕方ないとはいえ、かなりの部分で著者や年月が判明しており、優秀な国文学者の方々の手により、御文庫タイムマシンで届いた過去の歌を読み解くのは、楽しい発見が多いことだろう。
藤原定家が厳しく私家集をチェックして、◎×を書き込んでいるのが、また凄い。
 彼は政治的にはあまり優遇された人生ではなかったろうが、歌人としてこうやって後世に名を残す、しかもこの展覧会のアイドルとなって登場したものまた愛らしい。「明月記」としてきちんと資料を残した事で当時のドラマを伝えてくれる。かなり特徴的な字でなかなか読み下すのが厳しいが。裏の反故紙のほうが実は重要だったという話もまた面白いもの。

 年月を超えて届いた和歌集 インターネットで規定の文字列によって、感情に訴えたメッセージを発信する時代になったが、やはり手書きが一番気持ちが伝わる。人間の心は時代が変わろうとも容易く変化しまい。いつの世にも恋心。
恋の部...初恋、見恋、祈恋、不逢恋、忍恋、別恋、増恋、久恋、絶恋...なんて沢山の恋心!

展示構成
第1章 家祖(かそ)文学史に輝くスターたち
第2章 明月記(めいげっき)定家の自筆の日記 800年前の息づかい
第3章 勅撰集(ちょくせんしゅう)宮廷文化の精華 最高水準の和歌が集結
第4章 私家集(しかしゅう)「歌の家」の必須資料
見どころ
1、冷泉家「奇跡の文庫」の精髄 国宝・重要文化財を一堂
 国宝5点を含む国宝・重要文化財約400点、出品総数としては約500点という質量ともに最高の史料が出展されるのは、今回が初めて。
2、日本文学史の「源泉」を体験
「朝儀諸次第 朝所(ちょうぎしょしだい あいたんどころ)」(藤原定家筆 鎌倉時代前期)から定家筆の人形。人形を自分に見立て儀式の予行演習をした。

 長い歴史を通じて宮廷文化の華である和歌をリードしてきた冷泉家には、日本文学の本流が息づく。「古今和歌集」「源氏物語」といった古典のテキストは、藤原定家書写本の流れをくむ本を活字にしたもの。
3、古筆と料紙の美しさを愛でる
実方中将集  俊成、定家、為家、冷泉為相らの書籍は、歴代当主が座右に置いてきたもの。木版で文様を刷り込んだ唐紙、草木染め、墨流し、金や銀で箔加工されたものなど、美しく装飾を施した料紙を用いて丁寧に仕立てられている。書と紙の繊細な風合いや個性的な色合わせなど、粋を極めた不易の美の輝。
※ 「古筆」とは平安時代から鎌倉時代にかけて書かれた和様の名筆を指す。
4、天皇家との深いかかわり
仁孝天皇宸翰和歌懐紙  天皇や院の命で編まれた勅撰和歌集の撰者を輩出し、歌道師範を務めた冷泉家には、歴代天皇の書「宸翰(しんかん)」が多数、残されている。天皇の御衣(おんぞ)を拝領し、その裂(きれ)を使って表装されているものもあり、宮廷が華麗な色彩に満ちていたことを今に伝える。