皇室の名宝―日本の華 (第2期)@東京国立博物館平成館

 皇室の至宝展はあとわずか そのため雨でも混雑する盛況ぶりだ。
ガラス面に沿ってびっしり人垣が出来ているが、じっくり待って見るに相応しい作品が多いのが悩みところだ。

螺鈿紫檀阮咸 (表面)奈良時代(8世紀)正倉院宝物

螺鈿紫檀阮咸 (背面)


紺夾纈絁几褥 奈良時代(8世紀) 正倉院宝物

玉泉帖(部分) 小野道風 平安時代(10世紀) 三の丸尚蔵館

粘葉本和漢朗詠集(部分) 伝藤原行成 平安時代(11世紀) 三の丸尚蔵館

春日権現験記絵(部分)高階隆兼鎌倉時代、延慶2(1309)年三の丸尚蔵館



建築、人物など描写は確か。鎌倉時代当時の大工仕事の様子も丁寧に描いている。人物の表情の豊かさ、細やかな植物や動物など目を見張るべき神技。神のお使いである鹿が愛らしい糞をしても「♪ふんふんふん黒豆よ〜鹿の糞」と歌えるくらい愛らしい。
NHK日曜美術館で紹介されていた部分では、雨あし 地面に跳ねる雨粒まで細やかに描いている。
最後の雪化粧した山々を見て清清しい気持ちになる。

蒙古襲来絵詞(部分)鎌倉時代(13世紀)三の丸尚蔵館


御用絵師が描くモンゴルとの戦いぶり。

源氏物語図屏風 狩野探幽 寛永19(1642)年 三の丸尚蔵館

1Fでは、正倉院宝物復元を現代の名工達の手によって復元された作品が展示されている。
現在でも、天皇陛下皇后様は、紅葉山御養蚕所で養蚕の世話をしたり、日本茜の栽培に配慮されたり、日本文化の根源の伝承を守るべくご努力なさっている。養蚕は丁寧にお世話にしている様子は写真で拝見したことがあるが、こうやって蚕の繭が絹となり、日本茜で染められて美しい織物となる過程を見るのは大変よいことだ。

日本文化の価値観が揺らいでいる昨今、やはり文化として守りたいものは、自分達の手を経て守りとおさなくてはと思う。今回は混雑しすぎて、ゆっくり子ども達が見る余裕がないのが残念かもしれない。でも大渦に飛込んでみると、絵巻など素晴らしい時代のタイムマシンだ。

すぐわかる正倉院の美術―見方と歴史
正倉院の世界 (別冊太陽 日本のこころ)