Blank Space@POLA MUSEUM  ANNEX

2009年11月7日(土) - 11月29日(日)
11:00 - 20:00
会期中無休 入場無料
POLA MUSEUM ANNEX POLAビル3F
 ライティング・アーキテクト。豊久将三さんは1998年ニューヨーク近代美術館で行われた「CONTEMPORARY JAPANESE TEXTILES」展で光ファイバーを使用した照明で世界的に評価を受け、その後セントルイス美術館や森美術館など 主に美術・博物館の照明計画・制作に携わる。
 13万個のLEDを使って構成されるポーラ銀座ビルのファサードの設計を手がけた豊久将三氏による、光のインスタレーション

「人が光を認識するとはどういうことか?」

 その原点をみつめ、人の眼と脳の根源的な関係性を問い直す画期的な作品。あのホワイトキューブがこうも変貌するものか この空間の可変性に興味を抱く。毎回楽しみが多い場だ。
 ビル表面から発せられる光を意識しながら、ギャラリー内に3つの異なる光のアート。開場ではPOLAのきれいなお姉さんが色彩体験へ誘ってくれる。限定5席のVIPルーム。
 美しき贅沢な空間で味わう光の体験から、直島での南座 ジェームス・タレルの作品を思い出す。
とにかく言葉では尽くせず、各自の体験に勝るものはなし。
「人が光を認識するとはどういうことか?」音楽に身を委ねて視感覚に正直に身を委ねてみる。

 豊久さんのメッセージは、まるで生体実験のよう。でも、こちらは光の三原色を用いて常に変化し続け刺激する。

 ヒトの眼の網膜には、2種類の視細胞がほぼ一面に並んでいる。このうち桿体(かんたい)細胞は、感度は高いが色の判別はできない。一

方の錐体(すいたい)細胞は、感度は低いが色の判別ができる。
 錐体細胞にはさらに、青、赤、緑、それぞれの色の光を受容する3種類の細胞がある。それぞれは、"青色光を受容する錐体細胞"・"赤色光を受容する錐体細胞"・"緑色光を受容する錐体細胞"である。
 光の色に関して考えると、白色光は様々な色(青・赤・緑)の光が混ざったものであるため、"白"を見るためには3種類の錐体細胞の全てが反応しなければならない。
 ところが、この錐体細胞からの指令が脳に伝わる段階で、錯覚が起こる事がある。例えば、"赤"をしばらく見つめていると、赤色光を受容する錐体細胞だけが反応し続けて疲労してしまうため、赤を見続けた後すぐに"白"を見ると、他の2つの錐体細胞だけが反応して、"赤"の補色の"青緑"に見えることとなる。
 これを錯覚とするか現実とするか、作品を体感し脳に問いかけていただきたい。
豊久 将三

 絵画も現実も常に眼を使って感じている。平面の絵画とは元より人に錯覚をさせて、臨場感ある場面に同化しては感動を受けたり考えたりするもの。その絵画も光の当て方によって印象も変化したりする。その根源にある光そのものを実にシンプルに問いかける試みなのに、心身共に癒されその場に座っていたいと思わせる。
 あの椅子に座りながら常に視覚神経と認識する脳が絶え間なく交流を繰り返す。英語の語りや音楽で聴覚神経も絶え間なく交流に参加する。