夢と追憶の江戸-高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展-(後期)@三井記念美術館

三期全入替という大胆な展覧会。いよいよ後期。大物揃いという訳でなく全期均等に見るべきものは配した。明治期の浮世絵などは充実していたと思う。
 浮世絵の状態は様々だが初見も多く、大変楽しめる内容。なお慶應義塾大学のHPでも見ることが出来る。


(44)鈴木春信「双六のけんか」真剣勝負の喧嘩姿の子供達の表情など全く上手い。喧嘩のあおりを喰う坊やも。
(86)鳥居清長「見南美十二候 八月」ピンク、紫が綺麗 
(102)喜多川歌麿「高名美人六家撰 辰巳路考」きっぷのいい辰巳のねえさん、ひと肌脱いでくれそう。
(120)喜多川歌麿「俗ニ云ばくれん」ブータレたギャル。美人画の名手がナニゆえに風俗を描くのか、でも楽しい!
(239)歌川広重「庄野 白雨」
(252)歌川広重「唐崎夜雨」広重はやっぱり雨の表現が良いからか。
(140)東洲斎写楽市川蝦蔵の竹村定之進」雲母摺りが見事に残り、写楽らしい表情豊かな作。一番◎

(51)鈴木春信「白象と唐子」木目だしの白象。
(82)勝川春英「金時の辻宝引」金時が子ども相手におもちゃつりを楽しませている姿が微笑ましい。子どものヒーローだもの。
(111)喜多川歌麿「今時邯鄲」花魁の"胡蝶の夢"(さる大名に身請けされる)が現実的で愛らしい。原作の胡蝶の絵と今昔並べて描くのがユニーク。
(126)喜多川歌麿「潮干のつと」貝がひとつひとつが、丁寧に銀色を放つ

(135)栄松斎長春「難波屋店先」アイドル おきたちゃん
(144)歌川豊国「役者舞台之姿絵 たち花や」摺りの味わい
(156)渓斎英泉「浮世絵美人見立三図」元祖ビジュアル系ガールズバンド♪
(160)歌川国貞「二見浦曙の図」ご来光の陽光の描き方は横尾忠則もびっくり。

(270)広重 名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火
星や祠など細部まで
(273)落合芳幾「英名二十八衆句 鳥井又助」敵将の首をくわえて、水中を泳ぎ逃げ切った。
(296)(299)水野年方「三井好都のにしき」ゆうすゝみ 紅葉狩
(288)月岡芳年「雪月花之内 月」毛割九右衛門 毛並みがリーゼント調
(279)月岡芳年平維茂戸隠山鬼女退治の図」
水面に鬼女の姿、劇的場面は見事

ボストン美術館でも2005年からデジタル化を進めていた。今回小学館から豪華画集が登場した。

ボストン美術館秘蔵 スポルディング・コレクション名作選

ボストン美術館秘蔵 スポルディング・コレクション名作選

満を期す。浮世絵は手慰みに気軽に楽しんでいた庶民の愛好品だったのに、いつの間にやら額装して大事に保管されるべき至宝になってしまった。しかし、スポルディングコレクションといい、この高橋コレクションといい、デジタル化という影武者によって、一層永らえる事になろう。