夢と追憶の江戸-高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展-(中期)@三井記念美術館

 
中期:10月14日(水)〜11月1日(日) 
後期:11月3日(火・祝) 〜11月23日(月・祝)

出品目録

開催時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
★ナイトミュージアム 17:00以降の入館料 一般900円、着物で来館すると900円
日曜・祝日 18:00まで(入館は17:30まで)
土曜日 19:00まで(入館は18:30まで)

 まるで邦画の名文句のようなタイトル。慶應義塾創立150年記念して所蔵する高橋誠一郎浮世絵コレクションによる展覧会。DG_KUL(デジタルギャラリー)でコレクションを見ることも出来る。
浮世絵の保存上問題からもこれが最後の機会となるかもしれないので、浮世絵コレクションの実物を見たい人には必見かもしれない。

 浮世絵展というと どうしてもガラス戸に顔をくっつけて拝見する人多く、流れも滞りがち。それを配慮してか、L字型の展示ケースは比較的余裕を持たせている配置の妙。混雑しても、あまり不快にならない程度だ。

以下気になった作品。展示順に並べたが(数字)は図録番号

菱川師宣(2)「低唱の後」頬染める色彩の艶やかなこと
・鈴木春信(32)「風流四季哥仙 卯月梅」春信の良品が多く出品される。若緑が眼に鮮やか。
・鳥居清長(88)「隅田川渡し船」猿廻しのおさるの毛並みが可愛い。遠景に筑波山
喜多川歌麿(141)「高名美人六家撰 富本豊雛」「とよひな」アイドルはこうでなくちゃ!名前は江戸名物判じ絵
東洲斎写楽「二世小佐川常世写楽のぎっしり豪華な雲母摺の背景を施した大首絵 役者の特徴を巧く捉え見事に描くのは、やっぱりロートレックと似たタイプかも。
・鳥居清信(8)「恋の深爪」二人だけでコイ世界に浸っているカップル、いるいる♪もう誰も傍に寄れない濃厚さ。
・鈴木春信(31)「風流四季哥仙 三月」(35)「風流四季哥仙 立秋」(39)「風流四季哥仙 庭の雪」雪で犬を作って紅で目を入れているところ(47)雪「転がし」(50)「一本菊」 子供の表情や動きを巧く描いているのが微笑ましい。(53)「蚊帳の母子」蚊帳の細やかな表現。
・勝川春好(72)「五世市川目団十郎」(75)「四世松本幸四郎」筆運の強弱がたっぷりとした質感ゆえ名優の品格が感じられる。
・勝川春英(79)「三世市川八百蔵の早野勘平」仮名手本忠臣蔵第六段 プロマイドの貫禄。格子柄の着物の表現とともにイケメンな八百蔵に惹かれる。
・鳥居清長(96)「青楼四季十二花形 玉屋内しづか」着物柄の見事な様(97)「四天王大江山入」歌舞伎舞台の常盤津名人も一緒に登場。
鳥文斎栄之(130)「風俗略六芸 琴」色彩感覚が一番穏やかで品があり、一番美人だと思う一品!(133)「鷁首船」想像上の鳥である鷁を、装飾として船首にとりつけた船に立ち美人てんこ盛り。歌麿美人画で競う腕前さもありなん。

・歌川豊国(145)「高島 ひさ」人気アイドルおひさちゃん♪鏡に映りこみ雲母刷り
・渓斎英泉(157)「吉原八景 丸海老屋内玉川」江戸時代のageha嬢か、豪華な意匠と盛り髪、目鼻立ちバッチリメーク
葛飾北斎(215)「諸国名橋奇覧 摂州天満橋」ありえない!まさに奇覧 遠近法で表現されあt立派な太鼓橋に等間隔同サイズの提灯
歌川広重(261)「撫子に蝸牛」広重の『東海道五拾三次之内』『名所江戸八景』おなじみの名品揃い
月岡芳年(277)「芳流閣両雄動」「月百姿 源氏夕顔巻」「月百姿 玉兎 孫悟空
小林清親「(303)「千ほんくい両国橋」杭を手前にした構図の捉え方、川面の表現は好まれるスタイル

さてさて、11月3日より、夢と追憶する江戸の浮世絵も いよいよ後期。最後の見納め ゆめゆめお忘れなさらぬ様