ラグジュアリー:ファッションの欲望@東京都現代美術館

2009年10月31日から2010年1月17日まで
ラグジュアリー:ファッションの欲望
 社会の動きや私たちの欲望を何よりも敏感に反映しているファッションを通じ、「ラグジュアリー」という視座から時代や社会の価値観の変遷を再考するもの。視覚的にラグジュアリーで贅沢な表現から、より個人的で知的な遊びにも近いラグジュアリーまで、京都服飾文化研究財団(KCI)のコレクションから多角的な視点で精選した17世紀から現代までの作品約100点を展示。

会場には「プレイステーション 3」コーナーがあり、出展作品中15点の高精細画像の展示してる。気軽に精細画像に触れて見れる。これはデートにもお奨め。

[展示構成]
着飾るということは自分の力を示すこと Ostentation
「着飾るということは自分の力を示すこと」と、パスカルは言っています。かつてから着ることの目的の一つは着る人の富や権力を誇示すること。高価で希少品で自らを過剰に飾り立てる行為は、人間の変わることない欲求。一方で、この飽くなき情熱こそが職人を育て、芸術や産業を発展させていったことも歴史的な事実。 金糸や銀糸をふんだんに用いたきらびやかな衣装や多くの人の時間と手の技を費やして作られた豪奢なテキスタイルのドレスなど、〈見せること=顕示〉をテーマとした服を中心に展示。
エリザベス一世にまつわるボディス(17世紀)、ローブ・ア・ラ・フランセーズ(18世紀)、ウォルトのレセプション・ドレス(1900年頃)、仮装用衣装:ポール・ポワレのドレス「千二夜」パーティ用(1910年代)、ウォルト、シャネルのドレス、靴のヒール(1920年代)、
スキャパレリ、クリスチャン・ディオール(1940〜50年代)、ロイ・リキテンシュタインピエール・カルダンクレージュイヴ・サンローラン (1960年代)、ティエリー・ミュグレー、シャネル(カール・ラガーフェルド)(1980〜90年代)、 ヴィクター& ロルフ、バレンシアガ(ニコラ・ゲスキエール)、ルイ・ヴィトンマーク・ジェイコブス)(2000年〜)

削ぎ落とすことは飾ること Less is more
シンプルで日常的なスタイルを望む方向。とりわけ快適さや機能性がデザインに強く求められている現代において、その傾向は顕著。それを可能にするのはデザインの造形性、素材に対するこだわりや簡素でありながらも衣服を美しく見せる高い技術力の存在。 シャネルの機能的なアンサンブルやバレンシアガの構築的なドレスなど、削ぎ落としたデザインの中に上質さと精緻な職人技が凝縮したオートクチュールの作品を中心に構成。ポール・ポワレ(1910〜20年代)、マドレーヌ・ヴィオネ、シャネル(1920〜30年代)、グレ、ディオールバレンシアガ、クレージュ (1940〜60年代)、イヴ・サンローラン、イッセイ・ミヤケ(1980〜90年代)、ランバン(アルベール・エルバス)(2000年〜)

冒険する精神 Clothes are free-spirited 
東京文化発信プロジェクト ラグジュアリー:ファッションの欲望 特別展示 妹島和世による空間デザイン / コム・デ・ギャルソン
ラグジュアリーであることは物質的、金銭的なものだけにとどまりません。「今までにない服」の制作に挑戦する作り手、そのような服に出会い、作り手が込めた情熱を受け止めようと努力する着用者。両者の間に生まれる〈着る〉ことをめぐる濃密な体験もまた、精神的なラグジュアリーであるといえる。ファッションにおける〈美〉や〈洗練〉の価値転換を図ったデザイナー、川久保玲の作品を通じて、衣服の創造性とラグジュアリーの関係を考察。
場所や利用者との関係性を建築プログラムとしてとり入れ、新たなスタイルを確立した革新的なクリエイター、妹島和世が空間デザインをおこなう特別展示





ひとつだけの服 Uniqueness
希少なものには付加価値。何が希少判断は人によって大きく変わる。いつも目にするものでも、違う文脈に置かれれば世界にひとつだけの価値ある「unique」なものになりえる。大量消費型社会からの転換を目指している現在において非常に有効な考えではないか。 「一点もの」「リサイクル志向」「ハンドメイド」といった現在のラグジュアリーに結びつくメゾン・マルタン・マルジェラの作品。