肉筆浮世絵と江戸のファッション 町人女性の美意識(前期)@ニューオータニ美術館

赤坂見附から清水橋を渡って、ホテルニューオータニのガーデンコート6階上がってすぐにある別天地、ニューオータニ美術館

10月3日(土)―10月25日(日)
10月27日(火)―11月23(月・祝)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし11/23は開館
入 館 料:一般\800、高大生\500、小中生\300 宿泊者無料、20名以上の団体は各\100割引、着物で来館のお客さまは半額
 着物で行くと400円、前期行く人は後期半券を見せれば400円だそう。なんとも懐に優しいおもてなしぶり。
この展覧会は監修された共立女子大学教授、長崎巌教授が、図版も内容も丁寧に解説してくれる。HPで図版も多く説明してあるので予習をどうぞ。
 ホテルで庭散策も、お茶も楽しめる。着物でデートもお勧め。
浮世絵は軸装なので、実際の着物、表装も合わせてご覧あれ。その心憎いまでの着物柄と表具のコーディネイトは見事な美意識。
 着物の柄は注目したことがあるが、どの部分に柄が入るかで流行が追えるのが凄いこと。
以下の(番号)は展示番号

(28)勝川春章「立姿美人図」着物も美人もいいが、猫も!
(32)遊女図 ビロード石畳柄を織込んだ帯
(33)歌川国長「美人立姿図」超ネコ目な美人。更紗柄など大胆かつ贅沢。
(36 図36)白綸子地松竹梅模様小袖 裾から褄にかけて金糸でびっしり。
(38)染分縮緬地菊折枝模様小袖 紫の染分けがなんとも優雅。
(45)羽根つく美人図 こんな大胆な羽根つき姿 良いかも。
(49)黄雲「合わせ鏡図」 鏡を見入っている顔を正面に鏡で映す大胆な図。松に鶴、浅葱色が美しい。表装ともに一番センスが良いと思う。
(50)白縮緬地垣楓模様小袖 この意匠は垣根で格子模様を作り、楓を散らす。紫染も入れて贅沢なこと
(58)浅葱紗綾地沢潟模様小袖 

 なにしろ着物は直接見るしか説明しようがない。
 浮世絵肉筆画ではいつも美人画の顔に目がいくが、今回は着物のデザインに注目する。着物は、平面という制限があるがゆえに、洋服よりも染、刺繍など色、図柄、文様に非常に洗練された技術が費やされた。その成果が小袖であり昨年サントリー美術館の三期が記憶に新しい。誰もが江戸時代に最高の染織刺繍の素晴らしさに息を呑む。
 そして元祖ファッション雑誌「ひながた」白黒ながら模様と解説は素晴らしく。それが着物として現存して比較できるのは楽しい。今回はさらに肉筆浮世絵と実物を比べるというなんとも贅沢な企画だ。
 サントリー美術館「舞踊図」は企画展ごとにその存在が編集されるが、今回は着物のデザインと柄。
小袖雛形 (ビジュアル文庫シリーズ)
桃山・江戸のファッションリーダー 描かれた流行の変遷 (塙選書105)
 展覧会のパンフレットは、小冊子で千円だが解説を網羅して便利。
 ちなみに過去の展覧会図録も破格 百円とは!
 2001年「水辺の情景とジャポニズム」パリ、ロンドン、東京と比較し、銅版画、木版画が登場。川瀬巴水、リヴィエール、ホイッスラー、吉田博、小林清親、広重など充実で 足して二で割っても十二分にお得だった。