高島屋史料館所蔵名品展(後期)@泉屋博古館分館

後期は9月27日(日)まで

日本画は後期で全部展示替えのため、再度探訪する。丁寧に作家解説も付し、初めて会う日本画作家も知ることが出来た。
やはり高島屋美術部百年続くに値する名品の数々。印象の残った日本画 リスト番号順に付す。

22 富岡鉄斎《盆踊図》近世の群踊図にも似ているが、まあ良い表情で鮮やかな青の浴衣が麗しい。
23 竹内栖鳳《アレ夕立に》鮮やかな青に葵の着物の女性が腰を落とし、扇で顔を隠す。突然の夕立に思わず顔を覆い、「アレ」と一声。うなじの細密な描き込みと、着物や豪奢な帯の紋様はやや荒く。女性の妖艶さを一層引き立て。
27 横山大観《蓬莱図》富士を不老長寿の霊山に喩えるのも愛国心の強い画伯ならでは。表装も破格で展示室をはみ出そう。
31 山本春挙《富岳之図》金地の屏風四曲一双で、殆ど山端を描くことで、とてつもないスケール感を出す画風。接近すると山岳部など筆致は非常に荒々しいのだが、離れて鑑賞すると非常に緻密で神々しい雄姿が浮かぶ。日本画のベラスケスか。今回、大観や栖鳳の富士が霞むような威厳ある佇まい。
34 西山翠峰《松》行き交う波間に不動たる貫禄の松。墨一色なのになんと深い常緑を感じることか。
40 川端龍子《池畔の馬》 水辺に馬がいる風景に東山魁夷を彷彿もするが、水面に置いた白や緑の表情でなんとも生き生きした情景。
46 島成園《お客様》 とても上品で愛らしいお嬢様達なのに!シミが多くて残念。なんとか補修で元の美顔に戻して頂きたい作品。
52 中村貞以《大空へ》 昭和19年「中村貞以先生 平和」と額縁にプレートがある。昭和の時代を感じる願い。
56 奥田元宋《霧晴るヽ湖》紅葉と霧の対比が見事。
58 森田曠平《里たより》茜たすきも美しい。
60 稗田一穂《渓瀬》渓流の流れから見た印象をこう再構築して表現するのも、なかなか新しい風景画であったろう。
62 平山郁夫ペルセポリス炎上》日本画材をつかっていても、もはや日本画ではない。アジアの絵画だ。シルクロードで絵のルーツも遡った様。

高島屋での展覧会が充実しているのは、作家や出品者との太い絆ゆえか。ご縁に感謝したい。