neoneo展 Part1[男子]@高橋コレクション日比谷

日比谷の三井ビルにある 赤い水玉 高橋コレクション日比谷
2009年8月1日(土)−10月18日(日)  休:月曜

11:00−19:00
《入 場 料》一般300円 / 大高生150円 / 中学生以下無料

 なんとこの時期にジェンダー分けする狙いと「草食系」と規定する企画展。「ネオネオ」という名前も主旨もキライだけど、高橋コレクション日比谷に。ギャラリーとしては珍しく入場料を取る。でもポイント集めてポストカード という、可愛いおまけ思考。

《出品作家》(20名)
雨宮庸介、岩永忠すけ、大竹竜太、大野智史、川島秀明、倉重迅、小出ナオキ、佐藤允、渡抜亮、田代裕基《炎天華》、小西紀行《無題》

とりわけ 日野之彦、梅津庸一《フロレアル》、小橋陽介《self-portrait 99》、山本竜基《上昇志降》は 自画像系だ。

竹川宣彰《Cicada's eclosion #3》

谷口真人《Lost in transformation》
宮崎勇次郎アポロとダフネ風呂屋のペンキ絵のようで、極楽浄土。ビキニが富士山なのがナイス。
山本竜基《上昇志降》  自分の分身を髪の毛から服の皺、皮膚まで緻密に描くのだが、これだけ群像でも遠目から見ても 配置のバランスが巧い。
 選抜メンバーとその意図は「■草食系という自己愛のかたち」(宮村周子(編集者、来来/LaiRai))の文章で明らかだが。印象としては 統一感もなく楽しい若者作品を楽しめた。感受性の強い作家達はひとつ先の未来を描いている。


「■草食系という自己愛のかたち」(宮村周子(編集者、来来/LaiRai))より 

 熱心に収集が進められているネオテニー・アーテストに次ぐ若手、ネオ・ネオテニー世代に焦点を当てた「neoneo展」シリーズが企画された。  相当な人数が顔を揃えるネオネオ世代を紹介するにあたって、設けられた切り口は、なんと男女分け。「草食系」というキイワードともども高橋氏による発案だそうだが、そもそもアートで男子をクローズアップすること自体が、面白いことこのうえない。だってこの見方、今の日本のアートシーンを読み解くには、じつに鋭くも有効なのだ。

 Part1となる「男子」の会に選抜されたのは、1960年代後半から1980年代に生まれた、20人のアーティストたちだ。ペインティングを中心に、彫刻、映像からなる出品作は十人十色で、統一のスタイルはないが、一望すると目を引くのは、人物像やセルフポートレイトが多いこと。そして、内なるファンタジー世界を描き出そうとする、内向的な姿勢が見え隠れすることだ。これは、現代社会の有り様をアートを通じて告発したり、社会と自分、世界と日本との関係性を浮き彫りにしようとした、前の世代の雄雄しさとは、随分様子が違う。そもそもみな、何かに抗うことを放棄してしまったように、ただただ小宇宙の中を曖昧に漂っている。

 そうした、社会との緊張関係を周到に回避し、外の言語に頼らず、自分自身の言葉で表現しようとするネオネオ男子の等身大ぶりに、高橋氏は、今の世の中の反映を見ていると言う。かつては、世界を牽引していく男子たるもの、社会の中の自分のポジションを明確にして、傍若無人に突き進むマッチョさは、生存する上での必須条件だった。だからこそ、自分の内側ではなく、まずは外の世界を見続けなければならなかった男子たちが、その後大小の戦いに疲れ、闘争よりも世界との調和を選ぶのは、ごく自然な成り行きなのかもしれない。

次回展覧会予定 「neoneo展Part2[女子]」
10月24日(土)−12月27日(日)

主催:高橋コレクション日比谷実行委員会 特別協賛:三井不動産株式会社 協力:高橋龍太郎事務所、医療法人こころの会 プロデュース:内田真由美、児島やよい