赤 黒 金 銀 緑 青 ―前田正博の色絵@菊池寛実記念 智美術館

 磁器に色鮮やかな絵付けを施す陶芸家、前田正博氏個展。
静かな空間に、ジャズが控えめなヴォリューム に流れていたのは、前田正博氏の配慮かしらと思ったが、もしかしたら最強ブロガーの嘆きが変えてくれたか。

 全面を覆う平面でシンプル化された文様は、鳥、サボテン、月など自然をモチーフとしながらも、
器に奔放で楽しげな。独特の色絵スタイル。
 薄く塗って何度も焼成できる洋絵の具の特性を発見し、色を重ねて独特の発色に成功した。
金銀彩をアクセントにした鮮やかな色、花鳥風月が現れる。最近は1ミリほどのテープを縦横にマスキングして色を塗る手法で、織物のように 地肌を作るそう。
 智美術館が主催するビエンナーレには毎回優秀賞を受賞される注目の人。それをきっかけに・六本木に工房を構え「六本木磁器倶楽部」主宰。
 智美術館ならではの様々な工夫をこらした展示空間に、赤 黒 金 銀 緑 青 自由自在に踊っているようだ。

 毎日新聞東京夕刊 2009年8月17日より引用
 赤や青の発色を生かすため、実は金銀の下地づくりに時間をかけている。「赤の作品が多くなったのは、昨年還暦だったから」と笑いながら、「具象的なモチーフに飽きたこともありますが、常に新しい表現に挑戦することを意識しています」と話す。
 「磁器で大きな器や平皿をつくるのは陶より難しいが、制約があるからこそ面白い。基本が真っ白なので、いかようにも変化を出せるのが磁器の魅力です」

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