ゴーギャン展@東京国立近代美術館

 東京国立近代美術館では過去にも「ゴーギャン展」を企画していた(1987年)
今回は初来日となるボストン美術館のあの139×375cmの大作がメインのようだ。
会場では時代別に丁寧に展示解説をつけ、ゆとりをもった展覧会場だ。
 
第一章 野性の解放ピサロをはじめ、エミールマネのアトリエで交流し、ブルターニュの地と出会い、ゴッホと出会い変貌しているプロセス
第二章 タヒチ16 Te Nave Nave Fanua かぐわしき大地
18 パレットを持つ自画像
「Noa noa」をはじめ版画の連作。タヒチの太古の神、古代神話から得たものがすべて作品に繋がっている。
第三章 漂泊のさだめ
健康の悪化、貧困、孤独、絶望とを追い詰められたた晩年の画家。砒素を大量に服用し自殺を図った彼の心。
46 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか
 この絵の前では映像、会場展示パネルで丁寧に図像解説が付けられる。会場はライティングのせいか、背景にグレイをもってきたせいか 最良の環境とはいえないが、広い空間を一枚のために使った試みは評価したい。

47 Te pape Nave Nave おいしい水
48 Faa Iheihe タヒチ牧歌 
彼が辿り着いた人生哲学を感じる絵だった。

ゴーギャンは、パリ万国博覧会の植民地館でフランス領となったタヒチを知り、「楽園」を求めて、妻子や職を捨てたようだ。タヒチを「野蛮人」と形容していた彼はやがて、そこで知ること。
 人生とは皮肉なものである。タヒチを語る妻への手紙、来た手紙が愛する娘アリーヌの死、 絵画とは言葉で表すことが出来ないことを表現する手段だというのに、フランス語で書いた言葉。さまざまなモチーフを取り入れパッチワークのように綿密に計算され構成された画面。
芸術新潮2009年7月号
Pen249号(2009.8.1)クリエイティブ・ディレクター箭内道彦の旅ゴーギャンを探しに、美しきタヒチ
ゴーギャンタヒチの地を特集している。
会場でもタヒチ観光名物とゴーギャンをモチーフにした数々のグッズ。多くの人にゴーギャンを魅了する画家として評価してもらえる現在 あの問いに答える思索は如何に。

ノア・ノア―タヒチ紀行 (岩波文庫)
ゴーギャン オヴィリ
タヒチ・ノート―ゴーギャン手稿