ルネ・ラリック展@国立新美術館

2009年6月24日(水)−9月7日(月)

 天井の高い広い新美術館のハコを展覧会に変えてしまった。
繊細で華やぐ宝飾から煌くガラスへ 光に満ちた作品。
手書きの扇子をプロローグとして、繊細なデッサンからうまれる数々の宝飾品が連なる。
愛するアリスのためにデザインしたケシの花のバックル。実際に身に着けたアリスの写真、数々のデッサンなど
ハット・ピン《ケシ》 オルセー美術館
実際に見るとその繊細な技術。

 エナメルや七宝を駆使した技術。そこから透明へ憧れ、やがてガラスへと移る過程を見ることが楽しい。
ガラスでは、天井から布を通して静かな光を、アール・デコ博覧会会場を写真やポスターなガラスの女神像は11体丁寧に配置される。
一点もの、シール・ペルデュ(蝋型鋳造)

ジャポニズムに着想を得たアール・ヌーヴォーからアール・デコへ やがて日本を魅了した。
鍋島直泰侯爵が自らボディをデザインし、実際にカーマスコットを装着していた高級車イスパノスイザが特別展示。傍にシャネルスーツの女性。
1925年アール・デコ博覧会で朝香宮夫妻が魅せられ、白金台の宮邸(現・東京都庭園美術館)で、ラリック社製の玄関扉やシャンデリアを誂えた。

華やぐアールヌーヴォーの宝石、アール・デコのガラスの魔術師。
実際の作品とともに物語が立ち上るように丁寧に配慮された展示だと思う。 あの時代を魅了し続けたルネ・ラリックの作品が世界各地で大事にされ、今回のように展覧会によって集まる場があることに感謝したい。

もっと知りたいルネ・ラリック 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
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