ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側@資生堂ギャラリー

2009年6月27日(土)〜8月9日(日)
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1
平日 11:00〜19:00 日曜・祝日 11:00〜18:00 毎週月曜休

 階段を下りるアプローチに
衝撃的な「満潮」赤い服の女の子
The Helsinki School
The Helsinki School: Young Photography Bu Taik

ティーナ・イトコネン Tiina Itkonen
1968年ヘルシンキ生、2002年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了。Ultima Thule(最北の地、遠い未知の国)をテーマに、グリーンランドの氷河や、北極圏に住む先住民族を撮る

《Icescape 氷景》
《Iceberg》
 そうして美しい氷の自然の営みを切り出したアイスブルー
スオミの人々を大自然の中 暖かな家の中

◆サンドラ・カンタネン Sandra Kantanen
1974年ヘルシンキ生、2003年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了。中国の風景画に影響を受け、北京の中央美術学院に留学した経験がある。構図や色彩など、絵画の影響を多分に受けた風景や植物の写真を撮る

 風景に描きこまれた風景の重なり 
《湖》
《桜》
《山》
写真を二重露出させた上で、フォトショップで加工するそう。まるで心象風景のように自在に絵画に仕立てる。

◆スサンナ・マユリ Susanna Majuri
1978年ヘルシンキ生まれ、2007年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了
。北欧の風景を舞台に繰り広げられる物語のスチールのような写真を撮る。後姿の人物が登場するが、表情は背景に写る灰色の空、明るく冷たい水の色などから読み取ることができる

 水の中の少女たち 
《saviour》水に沈んだ水色の家に向かう 
Mestä》森の緑と紅葉の茶色の洋服 
《Kaksoset 双子》手を取り合う二人

◆アンニ・レッパラ Anni Leppälä
1981年ヘルシンキ生、2004年からヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程

在籍。過去から物語を紡ぐように大小配置される写真が繋がりを持つ

《Yearly growth》愛らしい手に赤いネイル
《Feeding》
《Model》ドールハウスの女の子
《Orange Tree》オレンジの実が美しい
《Window》
《Lookimg at the forest》瞳の中に森の風景が!
《Hands》
《Room:girl in a museum》
《in Greeen》鮮やかな緑地に赤毛の少女が後ろ向き

日本・フィンランド修交90周年と資生堂ギャラリーも開廊90周年を迎える今年、九重尽くし。
欧米のアートシーンで台頭しつつあるヘルシンキ・スクールの写真を、アジアでの紹介は初めてとか。

ヘルシンキ・スクール(ヘルシンキ派)とは、ヘルシンキ芸術デザイン大学の教育課程から導き出されたアプローチや考え方を継承する教師、学生、卒業生たちのグループを名づけたものです。ヘルシンキ・スクールは、今回のゲスト・キュレーターであるティモシー・パーソンズが1982年に客員講師としてヘルシンキ芸術デザイン大学で教鞭をとるようになったことからはじまりました。同大学では、ひとつの考え方を教えるのではなく、様々な教師によってそれぞれの生徒の個性を尊重するという方法がとられています。また、写真の技術や理論を指導するだけでなく、卒業生たちをプロのアーティストとして育て上げることにも力を注いできました。
そのような同大学のカリキュラムから生み出される、ヘルシンキ・スクールの写真に共通してみられるのは、美しい自然がつくりだす風景と、北欧独特の光と色の捉え方、風景の内にあらわされる物語性です。
1996年にヘルシンキ芸術デザイン大学は、ヘルシンキ・スクールのアーティストたちの活動をサポートするために「ギャラリー・タイク」を立ち上げました。ギャラリー・タイクは、展覧会を開き、作品集を出版することによっ
て、アーティストたちを広く世の中に紹介していきました。その結果、ヘルシンキ・スクールは、パリフォト、アートフォーラムベルリンなど主要な国際アートフェアで注目を集めることとなり、2007年にはフィンランド写真美術館、2008年にはパリの国立高等美術学校、2009年にはドイツのウォルフスブルグ美術館等で展覧会を行っています。

◆ティモシー・パーソンズ Timothy Persons
1954年ノルウェー生まれ。ヘルシンキ芸術デザイン大学 主席講師、プロフェッショナル・スタディー・プログラム ディレクター・ 国立現代美術館キアスマ シニア・キュレトリアル・アドバイザー