日本の美発見 やまと絵の譜@出光美術館

 足繁く通う美術館ゆえ既に鑑賞した作品も多く揃う。しかし定番の素材(出光収蔵品)を料理するるが上手なシェフである。毎回の視点が面白く今回も「日本の美発見」第二弾として三つの切り口で揃えて展覧する。
 やまと絵、大和絵とは、中国の漢画、唐絵と対比する言葉。日常のささやかな風景や心を繊細な線を用いて描く、日本独特の描きをいうそう。
第一章 「うつつ」をうつす 「やまと絵」と浮世絵
第二章 「物語」をうつす 「やまと絵」絵巻の諸相
第三章 「自然」をうつす 「やまと絵」屏風とその展開

 「現」とはいえ浮世の佳き絵ゆえ。浅葱振袖、古清水の香炉などさりげなく配置する。
 
◇「江戸名所図屏風」は面白い。なんたって江戸っ子だね。そこらじゅうで喧嘩するしナンパはする。南蛮人はいる。能楽、歌舞伎と楽しみ。それぞれの衣装も表情もひとつとして同じはなく、江戸の活気が江戸名所の風景の中で蘇るよう。

江戸名所図屏風―大江戸劇場の幕が開く (アートセレクション)

江戸名所図屏風―大江戸劇場の幕が開く (アートセレクション)

◇英一蝶「四季日待図巻」
三宅島島流時期に描いた「島一蝶」
幇間として大活躍したであろう頃を思い出させる 艶やか華やかな場面

岩佐又兵衛在原業平図」「野々宮図」

◇「異形賀茂祭図巻」
異形を愛しむ心がまた大和絵

◇「日月四季花鳥図屏風」
日と月が立体的なこの屏風。日に満開の八重桜と雉夫婦。月に楓と鹿カップ
金雲に金散らし華やかで意匠も見事。室町時代だそうだが、琳派は日本のDNAだ。

 やまと絵の系譜は日本四季折々を愛で、日常のささやかな変化に感激する。それが俳句や短歌に。現代では写メする行為も日常のささやかな感動を記憶する仕掛けか。

 出光美術館の名品の数々も見せ方の切り口が見事な上、大変美味なる料理であった。