美連協25周年記念「日本の美術館名品展」Museum Island@東京都美術館

2009年4月25日(土)ー7月5日(日)

※展示替えあり
 前期4月25日(土)〜5月31日(日)
 後期6月2日(火)〜7月5日(日)

午前9時〜午後5時(入室は午後4時30分まで)
休館:月曜休室(ただし4月25日〜5月10日まで無休)

美連協(美術連盟協議会)加盟124館のうち、優れた逸品を220点集めて展示するそう。
 都道府県見本市のようでもあり、ミスユニバース世界大会のように魅力的な逸品ばかりで、どれが良いと選ぶのもまた難渋する。
 ただし出品数全ては空間内に物理的に無理であり、保存上から期間限定もあり前期後期と分かれるようだ。あらかじめ出品リストでチェックされても良いかも。
 会場内はVintage ollectionに相応しく壁面を深みある色で揃え、美術史の流れに乗せるようなクロニクルな編集で進む。しかも適切な間隔がおかれ、ゆとりを持った空間の中で、作品魅力は前後関係から新たなエネルギーを放つようだ。
 展示プレートは各美術館の学芸員が自由に記入しているようで、その特徴や独特のメッセージなど楽しい。岡山県立美術館の「続きは...」に。広島県立美術館の他にないコレクションと選択したピカビア
第一部「西洋絵画」は深い緑,近代絵画史の流れを辿る。たしかに日本にこんな作品が!と驚くような絵が多い。それぞれ額装も味わうのが楽しい。額中額もあり原型を留める努力を感じる。
第二部は「日本洋画」深みのある紺、そして黄土色明治からの洋画の歴史、フランス留学から多くを得、海外の作家から影響を受けて模索している作品が多い。
第三部は「日本画」「版画」 大きなガラスケースに軸物が展示される。日本画はなかなか常設が難しいので、各美術館自慢の逸品もここで効率よく鑑賞できるだろう。
今まで名前を知らなかった作家も多く、まだまだ未知の作品もあることだろう。

 図録は非常に立派な装丁で重量級だが2500円で抑えてあり全国美術館ガイドの小冊子もつく。
 美連協の各公立美術館の所蔵品を見ると、地元の篤志家や画家その家族からの寄贈が多いが、それぞれの美術館が蒐集方針を決めて限られた予算で購入しているなど様々のよう。
 ユニークなのが、蒐集指針をきちんと決めている美術館。門外不出の作品があったゆえ、今回全てが実現したわけではなかったよう。ゆえにガイドブックを片手に冒険してみたくなる。

 狭い日本とはいえ、47都道府県を全て回るのもなかなか大変。展示解説は学芸員からの熱いラブレターのようで読まずにおれず、作品それぞれのパワーもすごく惹きつけられるゆえに遅々として進まず。美術館のシークエンスを終えて、満腹気味。
最初はさっと流れを掴んでから気に入った作品に戻るのも良し。最初からボリュームに押されると最後一番素晴らしい日本画が残っているので、体力は温存すべし。

 海外の名だたる作家を冠した展覧会で行列に並び黒山の混雑の中観に行くのも良いが、やはり作品と直接対話できる距離感と静寂さが必要ではないだろうか。
 ただし美連協が読売新聞が事務局をしていることもあり、宣伝効果で次第に混雑しそうな気もする。
 美連協25周年は2007年のこと。それから企画を立ち上げ、各美術館と交渉して大変な思いをされだろう。

 「世界文化遺産」や「日本平成百景」など日本再発見の旅行企画も多い。甲子園のように自分の故郷の美術館を応援するのも良し、心に響く一枚を再訪するのも良いだろう。
 地方が元気になる時代、それぞれが「美術館のものは、みんなのものになったということだ」というジョアン・ミロの言葉のように、この財産を横のネットワークによって広がればと願う。著作権問題はあるものの、全国の所蔵品が全て検索できたら面白いだろう。作家同士の交流や影響を考えれば、絵同士の関係は無限大にある。それぞれでコレクションの特徴が互いに響きあい、新たなハーモニーを生み出したら素晴らしいと思う。
 今回の企画がキックオフとなって、日本国内の美術館のあり方が問われるだろう。

 ちなみに 私が行きたいと思った美術館は
北海道立近代美術館
新潟県立美術館 新潟県立万代島美術館
豊田市美術館
(新聞記事では経費削減にも負けず企画展で新たな魅力を展開し続ける活動ぶり 期待が持てる)
鹿児島県霧島アートの森
今後の野望にしておこう。まずはイザ上野公園に。

*今回は美術連合協議会が読売新聞に事務局を置いているとの事で、ご招待頂き感謝申し上げます。
 美術館の横の繋がり、学芸員の海外研修など ご努力あっての25年。メセナ活動としても素晴らしいと思います。