三好和義写真展「極楽園」@和光ホール

 三好和義写真展「極楽園」 
 2009/4/8〜4/16 10:30〜18:00(最終日17:00)
 銀座和光本館 6Fホール(入場無料)
会期中は毎日14時と16時の1日2回、三好氏自らが作品を紹介するギャラリートーク・サイン会を予定。

 世界の楽園を撮影する三好和義氏が極めた楽園がここ。
 リニューアルした銀座のシンボル 和光の6階に踏み入れる。
 
 襖仕立てしたという仏像の写真は、
 最新の高性能デジタルカメラで撮影し、郷里徳島産の阿波和紙EPSON PX9500で出力し更に江戸唐紙の老舗「東京松屋」により屏風や襖に仕立てたという。顔料系インクを使っているため黒がきれいに表現されている。
 和紙ボードが吊り下げられ 足元に解説を置くデザイン。まるで襖による曼荼羅空間。

 三好和義デジタルカメラを使用した作品を観たのは、日本橋三越 ハワイを撮影した「楽園」で、色鮮やかな作品だった。
 ほの暗い堂内で細部までをも映し出す力は、フィルムカメラではあり得なかった映像表現。
光と影から新たな仏像の表情。木目、青銅の質感、顔にかかったクモの糸さえも丁寧に映し出す。今回は明暗による黒が美しく、金が非常に強調されて表現されており、暗い御堂で鎮座されている実物を、より緊張した関係で見ることが出来た。

国宝の仏像。三好和義の感性でとらえた、有名仏のこれまでに見たことのない表情。
室生寺、東寺、薬師寺、新薬師寺など、おなじみの名仏のはず。

聖林寺 十一面観音像 写真集の表紙に使用されている 拡大されて撮影されて右手も慈悲に溢れる優しさ
平等院 雲中供養菩薩像 音楽を奏でるように旋律を感じる菩薩
大日如来像 (真如苑)話題になったの実物は小さく感じるがこの大画面では威厳に満ちたお姿。
東寺 持国天 男なら憧れる絶対ヒーローの原型だ。このライティングによる陰影とポーズ
薬師寺 伐折羅大像
東寺 梵天  
東寺 帝釈天 たしかに「イケメン」仏だが、解説に書くほどか悩ましい。はなちゃんがラブ!
室生寺 辰神 白をバックにして揺ぎ無い姿勢 文句なく格好いい
室生寺 十一面観音像 土門拳の写真展で見て惹かれたが、これは光背までも写しこむアングル。
称名寺光明院 大威徳明王像 21cmの大きさがクローズアップしての迫力。名品は大きさに関わらず善し
   
 平等院の三日月の下の夜景は全く幻想的な風景であるが、
そばにぼんぼりと兎の置物を配したセンスがまたオツである。東大寺古材回廊軒板がさり気なく置いてある。
 この屏風は両面で楽しめることになっている。
『日経おとなのOFF』『美仏巡礼』などに仏像の美写真を掲載している。
 写真集『極楽園』新たな仏像の印象を抱く写真集だ。日経BP社 

極楽園

極楽園

 山本勉 の解説。作家の玄侑宗氏、歌舞伎俳優の尾上菊之助氏から寄稿。

 花も美しいのは、さすが楽園写真家三好和義氏ならでは。多くが楽園の印象を与える艶やかな花が多い中で 吉永小百合さんの胡蝶蘭が愛らしく思えた。尾上菊之助氏からは深紅のダリア。カラーもきりりと極楽園に相応しい。