上村 松園・松篁・淳之 三代展@日本橋高島屋

日本橋高島屋8階ホールで開催中の
タカシマヤ美術部創設百年記念「上村 松園・松篁・淳之 三代展」

親から子へ、そして孫へ三代に渡り引き継がれてきた「清らかなる美の継承」
3月16日(月) 10時〜午後7時30分(8時閉会)
は午後5時30分まで(6時閉会)
3月25日〜4月6日 高島屋大阪店
4月8日〜19日 高島屋京都店
4月22日〜5月11日 高島屋横浜店
5月21日〜6月1日 ジェイアール名古屋高島屋

高島屋美術部創設百年を記念して、日本画の正統ともいうべき上村家三代の画業を一堂に展観いたします。100年を越えて三代に受け継がれる「真・善・美」の極致を求めた松園の精神、日本人としての凛とした誇りを呼び覚ましてくれるかのようです。今回は松伯美術館の所蔵品を中心に足立美術館大阪市立近代美術館建設準備室、京都市美術館、西宮市大谷記念美術館の名品など60余点を出品いたします。

1.格調高い美人画で女性初の文化勲章受章者となった上村松園(しょうえん)
当時画壇で活躍されるために人並み以上に努力なさったのだろう。
「女性は美しければよい という気持ちで書いたことは一度も無い」と語るように、松園は誰にも媚びない気品ある美人を描いている。
 凛とした静かな美。能面のように表情は見る人に合わせて変化するよう。品格ある女性に惹かれる。
 結髪の生え際も艶かしく、透き通る白い肌に耳先がほんのり色づく。あの肌の質感はなかなか描けるものではないだろう。  
 凛とした静かな美。能面のように表情は見る人に合わせて変化するよう。着物は浅黄色や紫、鶯など落ち着いた寒色系で帯が暖色。そして中の赤襦袢をちらりと見せてドキドキさせる色使い。そして御簾や絽の着物など透かしを取り入れて品良くも艶やかな美を表現している。
 浮世絵美人画を模倣し取り込みながらも、松園は誰にも媚びない気品ある美を描いている。
  表装も主題にあわせて本当に美しい。京都の名だたる表装師によって仕立てられたのだろうか。図録にはどうして表装が載らないのだろう。日本画の軸装はそれこそ、絵画と額縁の関係のようにお互い引立てる一体化した芸術なのに。

 小さい頃から絵が好きだった才能を認め、松園のお母様が親戚の反対を押して 画の道へ導いてくれた。「人生の花」の絵は松園自身の「青春の夢」だった花嫁姿を描き、それを絵の向こうに預け封印し、自分は画業をまっすぐ生き抜いた と。

 羅馬展に出品した「伊勢大輔」は十二単と桜。
なにより京都の個人蔵が展覧会に出るのは珍しいこと。絶品(羅馬展には「春宵(山種美術館蔵)も出たそう)表装も当世の贅を尽くした如く 緑の重ねにあわせての色
13「ほたる」では、表装に団扇が一文字と風帯に使われているのが風雅である。
14「むしの音」アールヌーヴォーの朝顔柄、髪に白バラ、右手小指に指輪。画題をいつも江戸や歴史上の気品ある才女に託している松園にしては珍しく 当時大正時代の華。
17「待月」帯が兎柄なのが可愛らしい。お月様と兎 なにかしら見立ても楽しいもの。
15「花がたみ」世阿弥謡曲「花筐」。能の世界から「狂女」は重要であった。
「実地を見極める」松園が実際精神病院での写生を重ね、更に能面に託した表情。これが文展で二等賞を得るという背景も、単に美しいだけの女ではない その先。
35「鼓の音」は「序の舞」にも通じる その直前の緊張感ある美。
「焔」は幽霊図として現代の日本画松井冬子の「夜盲症」と並べられることが多い。今回はその下絵だが表情の線に迷いがなくその眼。本作品では裏から金泥で彩色を施しているとのこと。比較展示できたらよかったであろう。
説明によれば「壁に突き当たった時の絵」スランプを、こういう真逆の嫉妬心に悶える六条御息所に託して、乗り越えたのだろうか。

上村松園画集

上村松園画集

もっと知りたい上村松園―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
青眉抄 (1972年)
青眉抄その後
 
2.花鳥画を極め文化勲章を受章した松篁
50「月夜」愛らしいうさぎの親子。ご家族を描いたとか その優しさが伺える。黍の葉に煌く光で月をあらわすとは。
出品されていないが、「母子の羊」や「兎」(松伯美術館蔵)は本当に愛らしい。
人を幸せにする心穏やかな絵を描き、新しい形の花鳥図を描く。
54「熱帯花鳥」南国の花トーチジンジャーと極楽鳥を配した新たな境地。
60「水温む」は移ろう時間と水面から水中への空間が見事。

3.鳥を描いて独自の空間表現を模索する淳之
私がずっと好きな画家。
鳥を慈しむ姿は本当に絵になる。
特に余白。鳥が佇みその先の風景。
鳥の表情が穏やかで愛らしいのが好き。
昨年の展覧会で四季花鳥図が多かったが、
64「月に」65「夕日に」インドのブラックバックの親子を描く中に慈愛が感じられる。
73「蓮池」お父様危篤の報に描いたという、白鷺が偉大な父の姿に。
松伯美術館と佐紀・佐保路を訪ねて―松園・松篁・淳之 (求龍堂グラフィックス)
図録にないが「水辺の四季」新作あり。
鳥好きといえば...
とりぱん(6) (ワイドKC)