安藤忠雄ギャラリートーク@ギャラリー間

ギャラリー間にて安藤忠雄ご本人によるトークを聞いてきました。
今回も超!満員。
二回目は最前列でしゃがんで聞きました♪

日本には戦後物凄い建築と土木の技術がある
スケジュール管理もきちんと仕上げる力
ただし若いものになくなりつつある
協調性と忍耐力 そして緊張感

建築を決意した頃 本を読みまくり
シベリア鉄道で水平線を見たこと
やはり実際に大きさを体験することが大事だと。

住吉の長屋では、自然の光や風雨を感じる建築
人間は工夫して生活する力があるとの信念から

六甲の集合住宅4の施工を依頼された経緯が..
さすが安藤さんだな と思いました。

毎回の質問も丁寧に答えられて多忙なスケジュールの合間も
サイン書きに勤しんでいらしてスゴイ方です。

ギャラリー内では建築事務所の方に、いろいろヒミツを伺いました。
海外でも常に闘っています!
メキシコの創造の門 アブダビ海洋博物館 楽しみ。

・・・・・・・
原点というべき建築「住吉の長屋」が原寸大で会場内に復元されている。
1976年に建てられたもの 実際に今も住んでいる施主氏こそ偉大だと思う。
今回は鹿島建設さんが「住吉の長屋」が原寸大で会場内に復元されている。
「今年一番小さな受注」とか。
実際にその空間を、雨風もあわせて体験できる仕組み。
今見ても斬新。

このときにしてすでに便利さの追求よりも空を仰ごう、という

光の教会も図面だけで、1/10の大きさで模型を作ってしまったそうだ。
縮小であろうとすごい重量である。
極限まで単純な線と面で囲み
教会としての神聖性、荘厳性が見事に表現されている。

コンクリートのもつ魅力を巧く引き出す力
安藤忠雄という建築家はそこが魅力的。

2階は海外で取り組んでいる作品。
ベネツィアのパラッツオ・グランシの再生計画
そして続行中のブンタ・デラ・ドガーナ再生計画
このオファーを受けたのは、建築を見れるという野望があったそうだが
実際にアクセスが非常に不便。
そして、歴史的建造物の保存に関する法律の厳しい制約で
現地で施工中で幾度と修正調整が加わる様子もボードで紹介されている。

 見入っていたところ、安藤忠雄建築事務所員の方がお声かけてくれて
いろいろ話を伺うことが出来た。
 メキシコ モンテレイ大学RGSセンターはキャンパスの入り口に位置することから
gate of creation(創造の門)としてモニュメントであり、機能をもつ建物へ。
実際の半分の模型だが、上部にヴォイト(開口部)があり、安藤氏は何も覆わずに
雨風を直接受けるようにしたいと考えているらしい。
 模型を作る面白さは図面が三次元になったときに、思わぬ視点を発見する面白さとか。
実際に模型を作られたそう。

 安藤建築事務所に入るには、Ando Schoolといって一ヶ月間修行を受けるそう。
もともと武芸で鍛えた安藤氏らしく道場のよう。
建築事務所員28人の有能ぶりは、全世界で施工されている作品の数々を見て
圧倒される。

 安藤建築は「ゲリラ」だと話している。
聞いている ふりをして、自分のやりたい建築を
実現させてしまう安藤忠雄 常に闘っている建築家と揶揄される所以か。
建築と施主との葛藤を妥協せず交渉を重ねて乗り越えて実現できる力は素晴らしい。

 しかし非常にハードスケジュールな方である。
会場でも空き時間にはひたすらサイン、わざわざスケッチも添えるのが心優しい。
そして絶え間ないインタビュー。

11月14日 パラリンピック東京開催に向けて話し
11月18日 活字文化振興について話す 「2010年国民読書年に向けて」 (11月18日).

もはや建築界のみに留まらず社会貢献活動も意欲的な 大人物となられた。


安藤忠雄の建築〈3〉

安藤忠雄の建築〈3〉

建築家 安藤忠雄

建築家 安藤忠雄

ギャラリー間より 引用
建築をぬける風

私の初期の仕事である「住吉の長屋」の核心は、狭い敷地の三分の一の面積を占める中庭の存在にあった。
住まいの中に直に自然が入り込んでくる分、冬の寒さは厳しい。
雨の日には傘をさしてトイレに行かねばならない。
住まい手に不便な生活を強いる提案は、ときに建築家の横暴と批判を受けた。

だが、住まいの何を喜びとするかは、そこで過ごす人間の価値観の問題である。大阪下町の猥雑な都市環境を前に生活とは何か、住まいとは何かを徹底的に考えた末、私は、自然と共にある生活にこそ人間生活の原点があるという結論に行き着いた。スペース、コストともに極限に近い条件下での都市住宅――だからこそ安易な便利さより、天を仰いで“風”を感じられる住まいであることを優先した。

この小住宅を原点として、今日まで30年間余り建築活動を続けている。年代を重ねるごとに仕事の規模は大きく複雑化して、現在は欧米から中東アジアまで、世界各国で都市プロジェクトを手掛ける状況だ。

だが、“建築を通じて何を表現するか”という根本の姿勢は30年前から何も変わっていない。15坪足らずのコンクリートの長屋、中東のアブダビで計画中のモニュメンタルな文化施設、あるいは現在、東京で進めている環境を主題とした都市再編プロジェクト――いつも心に描いているのは、人々の心に生の感動をもたらす建築をぬける“風”の情景、自然と共生しつつそこに住まう人間の意志を表現していく建築だ。


安藤忠雄

建築家・安藤忠雄氏は1970年代、建築雑誌『都市住宅』に執筆した初めての論文「都市ゲリラ住居」というマニフェストと、それを体現した独立住居「住吉の長屋」によって広く社会にその名を知られる存在となり、以降、現代社会の批判とも言うべき斬新な建築作品をつくり続けてきました。1990年代後半からはその活動の舞台を徐々に世界に広げてゆき、今日ではヨーロッパからアメリカ、アジア、中近東にいたる世界各地でグローバルな活動を展開しています。

建築を単体で考えるのではなく環境形成の手段として捉えるという、より総合的な建築の考え方、そしてそれを自然と建築との”共生”によって実現しようという自然に拠る建築の方法です。
この点において、30年前に大阪都心部の密集住宅地につくられた極小住宅「住吉の長屋」と中東のアブダビで計画中のモニュメンタルな文化施設アブダビ海洋博物館」は一本の線で結ばれるのです。

会場には、安藤建築の”原点”に当る「住吉の長屋」を原寸大模型で再現するとともに、それぞれの”場所”に息づく安藤建築をスケッチ、模型、ドローイング、映像などでさまざまな角度から紹介。”環境”が主題とされる現代にあって、”場所”と”自然”との関わりを一貫して追い続ける安藤忠雄氏の建築活動の軌跡を辿ることは、未来へつながる重要な視座を与える機会となるでしょう。

独学で建築を学び、ボクサーから建築家へ転向後、1969年、28歳にして大阪の梅田に事務所を構え、たった独りで社会に踏み出した建築家 安藤忠雄氏。仕事がなく、読書に耽り、頼まれてもいない設計案を練っていた日々からおよそ40年の歳月が過ぎた今、無名の青年だった氏は、その腕一本で築き上げてきた建築作品で世界中から名だたる賞を受賞するに至り、国民的建築家と称されるまでに飛躍を遂げています。
建築をつくる勇気を与えてくれる、決定版作品集。