驚異の小部屋@メゾンエルメス

会 期:2008年10月11日(土)〜 11月24日(月祝)
休館:11月19日(水)
開館時間:11:00 〜 20:00(日曜は 11:00〜19:00)
会 場:メゾンエルメス1F ヴァンキャトル・セゾン(東京都中央区銀座5-4-1)
東京大学総合研究博物館モバイルミュージアム
ソニービルに面した方からエルメスビルの奥の建物へ。エレベーター前で声をかけて重厚な扉を前にして
入場料:無料
Wunderkammer×HERMES

重厚なガラス扉を開けてもらうと、鰐の剥製が出迎える。この空間をモバイルミュージアム東京大学総合研究博物館に変貌。えんじ色で部屋を覆い、骨格標本たちのアイボリーがセンスよく陳列して、魅惑的な空間になっている。西洋の屋敷や博物館とも違う異次元空間。非常に洗練されているのは、トーンを揃え、配置に隙なく整然としているせいか。絶妙なバランスで陳列棚を設けている。
剥製標本に併せてエルメスが配置される。博物館所蔵品にエルメスの輝くクリスタルグラスの配置の妙。えんじ色を背景にエメラルドグリーンを入れたのも効果的。
しかも、鰐の剥製の傍にはクロコダイル革の財布。とてもしっくり似合い過ぎでこわい。陳列ケースには、黒革のグローブや、ナイフが愛しきコレクションとして並ぶ。蟹など骨格標本に寄り添うシルバーのカフスボタンも絶妙な相性。ドーム型のガラスケースに入った天秤にもカフスボタン、そして鍵型のチャーム。
Wunderkammer(驚異の部屋)の中には、博物学的な興味と共に、輝く一流品を見つける驚きもある。古ぼけた標本の中でとりわけ輝きがある。
どうか素敵な男性は是非訪れてほしい。知的好奇心を失わないのが人生の秘訣。

「珍品陳列室が王侯貴族や学者たちによって競ってつくられたこと」にちなんでか、エルメスのメンズコレクションから、知的なコーディネイトがさりげなく添えられている。エルメスが似合うダンディな博物学者がいたら!コートと帽子、スーツまでトータルコーディネイトもシック。
足元には大きなクロコダイルの黒革のトランク。重厚な雰囲気に合うけれど、お値段をこっそり伺うと950万円相当。珍品コレクションを買うか、このトランクを買うか。 
階段を下りるとメンズコレクションがあるが、この間にアーウィン・ワーム
の作品が点在する。服地を使ったオブジェと、奇想天外な写真「一瞬の彫刻」 彼らがエルメスを着こなしているだけにアイロニカルな笑いが醸される。「判事」「精神分析医」・・
ちょうど新作揃いでネクタイもお洒落な柄が多く、お天気柄は見えないところまでしっかり遊び心があって愉しい。動物柄もユニークで、Hマークだけではない「遊び心」を堪能されては。

西野嘉章(本館教授、博物館工学/美術史学)
東京大学総合研究博物館HPより)
『メゾンエルメスにおける「驚異の小部屋」は、東京大学に蓄積された古い学術標本と、教育研究の歴史を担ってきた什器によって構成される展示に、エルメスの商品を配して完成される相補的な空間である。大航海時代以降、西欧の王侯貴族は「驚異の部屋(Wunderkammer=ヴンダーカンマー)」と呼ばれる珍品陳列室を競いあった。未知の「モノ」に対する原初的な驚きの感覚は、体系的な知の獲得へ先立つものであるとともに、新たな知へ人々を駆り立てる原動力となった。

「驚異の小部屋」をかたちづくる学術標本は、かつて、あるいは今でも、大学における教育研究を担うミュージアム・コレクションである。一方で、そうした学術的位相もさることながら、造形的特性の多様性という側面は、学術標本に「デザイン資源」としての活用の可能性を拓く。エルメスの商品ととともに陳列された学術標本や什器は、相互に最適な組合せを模索しながら、全体としてひとつのアートとみなしうる究極のミュージアム空間を構成している。
「モバイルミュージアム」とは、学術標本をミュージアム・ユニットとして再編成し、社会のさまざまな場所に流動させる「遊動型博物館」の試みである。
「モバイルミュージアム」は、蓄積されたミュージアム・コンテンツを都市空間へ持ち出し、日常を異化させる。
学術標本のデザイン資源化プロジェクトとして、また、ミュージアムの活動領域の拡大を図る文化的ツールとして、メゾンエルメスでの本展示「驚異の小部屋」は次世代型ミュージアムのひとつのあり方を社会に問おうとするものである。
西野嘉章(本館教授、博物館工学/美術史学)』

小石川分館
驚異の部屋 The Chambers of Curiosities」展

続く ggg gallaryにて引き続き出会うのがこの三冊。
西野 嘉章=[編]東京大学総合研究博物館
東京大学コレクション:写真家 上田義彦マニエリスム博物誌

CHAMBER of CURIOSITIES―from the Collection of The University of Tokyo

CHAMBER of CURIOSITIES―from the Collection of The University of Tokyo

鳥のビオソフィア : 写真家のマニエリスム博物誌百石譜 : 写真家上田義彦マニエリスム博物誌
ONE HUNDRED STONEWARES

ONE HUNDRED STONEWARES

赤坂インターシティでもモバイルミュージアムの展開も興味深い。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/mobilemuseum/site.html

愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎 <ヴィジュアル版> (集英社新書)

愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎 <ヴィジュアル版> (集英社新書)

メゾンエルメスも、現代アート、モバイルミュージアムともに積極的な協力は、大変魅力的なブランディング東京大学総合研究博物館の学術標本、エルメスのそれぞれの良さが引き立つ空間。