源氏物語の1000年@横浜美術館

 源氏物語千年紀 今年なぜ どうして千年かというと、文献上で確認できる「わかむらさきの」という文字が1008年の紫式部日記で出ているのが、根拠らしい。それが日本全国を圧巻する源氏物語ブームとなっている。

 この展覧会は美術展ではなく、むしろ博物館的に源氏物語の伝来の歴史や、源氏物語に由来する文物などが展示されている。
 貴重な展示品が多いため展示替は激しい。

 神奈川の九曜文庫の豊富な蔵書が展開している。また紫式部縁の滋賀石山寺からの出品も多い。いかに紫式部が持て囃されて、後世に多くのインスピレーションを与えたことか。
 お目にかかれなかったが、福井県立美術館の岩佐又兵衛など良品も多い。
 今回の作品には、個人蔵の出展が非常に多く、華麗な源氏物語屏風も多く、学芸員の力の入れ方がよくわかる。
特に (61)香川法然寺に伝わる「源氏物語図屏風」狩野養信 今まさに描いたと思われる鮮やかな青色その他本当に素晴らしい。現在まで非常に大切に封印されていたのだろうか。よく探し当てたと思う。

 本日はアートテラー とにーさんの「美術館へ行こうトーク」があるので聞きにいく。見立ての妙と語りの巧さで評判を聞いていた。
今回の見立てもさすが!10月26日日曜午後3時にも開催されるようなのでネタは秘密。さすが巧いな
とにーの平成教育委員会もまったくうまい。
なおトークで登場した画像は全て横浜美術館の出品から出ているので、一緒の絵を見つけるのも楽しいかもしれない。画像編集も巧い。
 もう少し横浜美術館でも宣伝上手にならないと もったいないと思う。あらゆる世代の女の子にお奨めトーク

 作品展示期間一覧 縦書きでルビ付所蔵館も入っているけど、肝心の時間が非常に見難いです。資料保存のために暗いのでもっと見やすい工夫があったら好きになると思う。

 源氏物語の宮中雅な王朝の雰囲気に憧れて、後には文学から想起して小袖の文様や工芸意匠に使われてきた。源氏物語も、源氏香や文物をもって物語を想起させる「見立て」が流行り、楽しめる。
 広く愛された文学ゆえ、細やかに感想を述べることは蛇足。
 海外に紹介された文学ということで、世界各国の言葉で伝わる物語本、朗読などあった。パネルには、なぜアラビア語と英語のみ?フランス語も中国語のあったのに。
いづれの御時にかありけん、女御、更衣あまたさぶらひたまいけるなかに、いとやんごとなききはにはあらねど、すぐれてときめき給ふありけり」
 源氏物語は究めること尽きないが、多くの人にいろんな夢を与えた影響力を思うと気合が非常に入った展覧会と思う。