大琳派展−継承と変奏−@東京国立博物館

BRUTUS (ブルータス) 2008年 10/15号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2008年 10/15号 [雑誌]

本阿弥光悦 
俵屋宗達
・・・・仕事でのコラボ関係
尾形光琳 
尾形乾山
・・・・雁金屋の兄弟関係
酒井抱一 
鈴木其一
・・・・師弟関係

 六人の関係性と それぞれの作品を比較する視点から構成した展覧会。
そもそも尾形光琳生誕350年という節目を開催ネタにしてあり、大変力量が感じられる蒐集ぶり、
対決展に比べてもかなり細やかに仕切りを加え、ガラスケースも多用して見やすい構成にしている。
ガラスケースの工芸品を通じて向こう側の屏風図を見るという面白い体験が出来るのも魅力的な展覧会。
惜しむらくは貴重な作品が多いせいか、見せたい琳派がたくさんあるせいか、展示入れ替えが激しい。
まったくサントリー美術館の屏風や小袖展なみである。
それだけに何度も通いたいし、通いたくなる構成となっている。

 風雅な王朝文化の宮中だけの芸術だったのを、町人文化の生活の一部に取り込んでしまう仕掛け。
しかも非常に洗練された構成や色彩で華やかな金 日本人はZIPANGU黄金の国であった印象も。

 さてどの場も素晴らしい。

 宗達が描いた養源院の杉戸に描かれた白象と唐獅子の図。コラムによるとてるむくり屋根に似ていると。
それが光悦の「舟橋蒔絵硯箱」のボリュームに繋がると書いてあり、なるほど面白さが倍増した。

根津美術館所蔵の門外不出の国宝「燕子花図屏風」がこの季節に拝見できたこと。
屏風の折りを意識した描きぶりで、斜めから見ても流れるようなリズムで描かれている。

 雷神風神は日本美術のシンボルともいえるが、宗達を模倣し光琳 抱一、そして其一へと
繋がる4点も28日から展示されるという。
光琳風神雷神図の裏は 抱一の夏秋草図屏風が描かれていた)
三代の伝統を活かしつつ、一番迫力あるのは、やはり洗練された筆致と構成力の其一がすきだ。
わざと屏風にはみ出すように描いて存在感を上げた宗達からの伝統は、多少の配置や絵の具が
異なるものの、更に大きさがある襖絵にして描き込んだ雷神風神は色調も落ち着いて、
ものの見事に神を演じている。雷神風神は日本人なら誰でも知っている程だろう。

 何もいえまい、日本美術が残した意匠の影響力は、必ず私たちの生活の中に取り込まれている。
琳派(RIMPA)は後につけられた分類。
 それは日本人のDNAのように繋がっていくのだろうか。海外にも影響を多いに与えている。
最近だと 日本画山本太郎琳派作品のパロディも用い人気ある作家のよう。

 また公式HPは力が入っているようで、キーワードをクリックするたびに世界に琳派の世界に入る。
光悦 宗達 花 型
光琳 反復 
追慕 継承 表裏
水 鳥 兄弟 青 夏秋 師弟 

 今回は強力なブログ発信を続けている はろるどさんと Takさんが企画された交流会もあり、
知遇に恵まれた機会もあった。人と美術と知識が繋がるのは素晴らい。
江戸文化も伝達があってこそ。現代の生き方とも通じる琳派の流れ 日本人ならば見ておきたい。