ジョットとその遺産展@損保ジャパン東郷青児美術館
損保ジャパンビル42階にある美術館。
今回はイタリア美術史の池上先生の講義を交えた鑑賞会に参加させて頂く。
「ジョット」西洋絵画の父、旅する画家など形容されるが、ビザンチン様式の神格化されたキリスト・マリア像をより表情が写実的で感情豊かに、そして空間の奥行きを描き多くの人に愛され、その技法を追随する「ジョッテスキ」と言われる人々を
巻き込み、後世に多く影響力を持った画家。同じ時代のダンテも「新曲」で絶賛したという。
今回初めて「ジョット」を知り、西洋美術史を紐解くように読んだ。
西洋美術史は、そのキリスト教の受容と解釈、政治的 社会的思想を反映して
本当に「歴史」を学んでこそ初めてわかるような分野。
美術館特製「ジュニア版ブックレット」
◆あたらしい人々とあたらしい気もち
◆ジョットの描き方 本物らしくみえるコツ
輪郭は淡く影をぼかして丸みを出した立体感、空間的、人々の重なりの奥行き、豊かな感情表現。
「あらゆる形を動きを自然らしく描くことができた」『年代記』ヴィッラーニ 1340
「その苦しみの表現はとても人間的で....その場にいるみたいで感動する」ゴッホ
◆聖母子像の時代
キリスト教が貧しい人にも広まった頃から マリアは全ての人の母と信じられ、天井の母に救いを求めさまざまな聖母子像が描かれた。
正面向き→横抱き→頬ずり→お乳をやる《授乳の聖母》
キリストの手にはヒワ(磔刑の血を浴びたという)首には珊瑚(子どもの御守だったそう)など、図像の細やかな意味、
ジョット《嘆きの聖母》が大洪水で絵具が流されたゆえに見える下書きの線から見た絵など、必見。
先生の解説により当時の絵画の手法や、同時代の画家との影響など参考図版を手に丁寧に説明して頂く。
絵そのものを何も前知識なく見るのも素晴らしいのだが、西洋絵画については、キリスト教や美術史を知っているとその鑑賞も何倍も楽しい。
ジョットの作品の多くは大聖堂の壁画であって剥がすことなど不可能だが、今回は緻密な写真による展示パネルで紹介されている。
ジョットはこの時代にイタリアの国外を出て極東の天空に近い場で絵が鑑賞されているとは想像していないだろう。そもそもレオナルド・ダ・ヴィンチよりも以前の影響力ある画家の板絵を運んで展覧会をするなど、なかなか実現しない事だと思う。
日本でいえば、鎌倉や室町時代の作品で日本でも鑑賞が厳しい時期。
ジョット Giotto NBS-J (ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)
- 作者: ノルベルト・ヴォルフ
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ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂 (Shotor Museum)
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