イサムノグチ庭園美術館

 牟礼に入ると石材加工の看板と巨石が見渡す小さな街につく。
道を抜けると「イサムノグチ庭園美術館」の場に到着する。大きな木材小屋が庭園美術館への入口であり、ミュージアムショップでもある。土の作品の一部としている、ガイドツアーが終わると掃き清め、足跡を消す。
 石垣でまるく囲いアトリエをまず築かれて、少しづつ蔵や商家を移築して作っていった場。
 この庭園美術館では、石の彫刻が 完成、未完成問わず、当時そのままの状態で配置しているそう。庭園は同じ石でも表情が違う。また自然の石の表情に合わせて切り出し味を出す。
 同じ黒石なのに方向によっていろんな表情が出ている。それは研磨の具合や削りの手の入れ方によって変化するそう。 
 ブラジルやアフリカ、インドの石材を使うことが多かったそうだ。
 大きな蔵の中に位置する エナジーヴォイド、無 ゼロ その存在が剛の素材を使いながら柔に見える。
 静かに石そのものと対話する場であり、方向、自然光による鑑賞の自由度が高い。
 大阪の商家を移築して「イサム家」を設けたそう。ノグチ氏は年数ヶ月ほど、渡り鳥のように来ては滞在しアトリエで作品を作る毎日。
工房もそのまま保存されていて、すぐそこで研磨していそう。
 現在はいくつかの作品をイギリスのヨークシャーYorkshire Sculpture Parkに貸し出ししている。
ヨーロッパ初個展という記事が。

 最後の裏山の庭園を案内される。きれいに配置された階段を登る。
その思いは、北海道札幌のモエレ沼公園へと拡がっていくんだろう。
 まるいまるい丘は滑ったら愉しそうと思う。その上に表情豊かな丸い石が置かれている。それはイサム自身と思うように。晩年ここでいろんな宴をしかったそう。月見の会があったら面白いだろう。
 帰ってからイサムノグチ自伝を読んだ。
イサム・ノグチ―宿命の越境者〈上〉
イサム・ノグチ―宿命の越境者〈下〉

彼の両親の出会い経緯から遡る自伝と彼の人生を思うとき、その辛苦を全て還元した寛容さに驚く。医者か芸術家か という選択をした時、この道を選んだことは、その当時だけでなく今現在そして未来に続くまで永久に存在する石の芸術、そしてデザイン性を思うと感謝。近くの公園に遊具があった。

 この後で泊まるオーベルジュ・ドゥ・オオイシ
香川県高松市屋島西町65番地 瀬戸内海と山に近いその場が扉を開けるとすっかりフランスのオーベルジュがそのまま繋がる。シェフとマダムが切り盛りするここは、全国から呼び寄せる魅力を十二分にもった場所である。

 真っ白の天井の高い部屋に白いブロックのシャワールーム、そのまま階段を上がると屋上テラスに続く。
また部屋前方は波音が聞こえる芝生を越えたらもう海一色。
夜は星空が瞬き、ひたすら波の鼓動が打ち続き、虫の音が交響曲となる瞬間。ずっと続けば良いのに。