松岡正剛 擬画遊書展@ギャラリー册

企画展「松岡正剛 
擬画遊書展[ダブルページ]―司書のごとく遊ぶ独自の見開きアート―」
ギャラリー册
会期:2008年9月6日(土)〜28(日) 11:00〜19:00
千代田区九段南2-1-17 パークマンション千鳥ヶ淵1F
TEL:03-3221-4220 FAX:03-3221-4230


 夜に出かけた時は漆黒の桜並木を虫の音が迎えてくれた。
今は9月下旬だが、季節はずれのツクツクボウシが鳴いている。
桜並木が舗装され、精気溢れる桜の大木を埋め込み、煉瓦で覆い
歩道を作り、低く垂れ下がる桜の大木は可哀相に黄色と黒色を巻かれている。

 その先にあるのが、松岡正剛氏がコーディネイトし内藤氏が内装を
行った、何とも贅沢な書斎か書の溢れる空間を設えてある。
入口には現代工芸作家が中へと誘う。

 企画展「松岡正剛 擬画遊書展[ダブルページ]―司書のごとく遊ぶ独自の見開きアート―」と題して企画展を行っている。

 文字通り、擬画遊書
あらゆる題材を、あらゆる素材を用いて、ダブルページ、見開きの形式にして
展開する。本人は「アーティストではない」と明言するが、こういう
手すさびがさらっと出来る粋人であろう。
 本の挿絵も巧いので、さすがいろいろ見てきている人だ。

 ギャラリー冊には、松岡正剛流読書術の成果を実際観る事ができ、
本に書き込み描きこむ。
 三羽舞う黒い蝶が、海に漂う鯨が、紫煙をくゆらす煙草が
本の活字の向こうから出てきたように描かれている。
正剛流メモも素晴らしく、すっかり観れば見るほど深い図である。
 描かれているものの背景を思うとき、深い思索をめぐらすのか。
現在の仙人かもしれない。お髭も立派なマツオカセイゴオ氏。

 今回の擬画遊書ではそのダブルページ感覚を、さまざまな素材と組み立ててみました。木版画ふう、埋木衝立ふう、洋書ふう、二曲屏風ふう、写真立てふう、冊子ふう、錠前カバンふう、和綴じふう、いろいろです。そこに載せた擬画遊書も甲骨文字から蘇東坡の漢詩まで、中世神話から錬金術まで、ゲーテからエーコまで、タオイズムから禅まで、造像物から十二神将まで、そして大好きな「遊」「月」「雨」などの両頁まで。いろいろです。描いたり、書いたり、彫ったりしてみました。作っていてたいへん面白かったです。
 私はアーティストではありません。勝手に文字や画像に遊びたいのです。あえて言うのなら、世界の片隅に発芽した表層の一端がいくつか動き回ったあげくにそこにやってきて、なぜかふと併存しているような、そんな動向の定着をおこしてみたいのです。それにはそもそも左右で一対になっているダブルページという仕様が、とてもふさわしく思えました。
 引用(擬画遊書展「ダブルページ=両頁主義」について 松岡正剛

◇イシス編集学校
◇「千夜千冊
セイゴオちゃんねる

京都出身。東京大学客員教授帝塚山学院大学教授をへて、編集工学研究所長。情報文化・日本文化研究の第一人者でもある。
主な著書に『知の編集術』『知の編集工学』『情報の歴史』『日本流』『日本数寄』『フラジャイル』『遊学』『空海の夢』『花鳥風月の科学』など多数。
WEB上の編集学校であるISIS編集学校校長。書評連載「千夜千冊」は千冊を達成し現在も更新中。

参考(MLより引用)◆「ギャラリー册」とは?
現代ガラスをはじめ工芸を紹介する「コンテンポラリーアートNIKI」の活動に、文庫本を収容する書棚、名づけて「糸宿房」(ししゅくぼう)と、全集を収容する書棚、名づけて「册集居」((さつしゅうきょ)の二つの書籍空間、さらにティールーム「茶・Cha」を併せ持つ、全く新しいギャラリーとして、2004年夏、千鳥が淵にオープンいたしました。
書籍編集を松岡正剛氏に、空間設計および書棚インテリアを建築家の内藤廣氏に依頼。
ギャラリーの命名松岡正剛氏によるものです。2007年から、新見隆が顧問キュレーターを務めています。