浮世絵 ベルギーロイヤルコレクション展(前期)@太田記念美術館

 ベルギー王立美術歴史博物館ベルギー王立図書館のコレクション展を見る機会がやってきた。

 心待ちしていた展覧会。平日にも関わらず盛況だ。
しかし「ベルギーロイヤルコレクション」とはこれいかに。
太田記念美術館では、前期後期と分かれてそれぞれ別で千円を決して安いとは思えないが、価値ありと思う展覧会だった。ちちらし持参だと100円引き、受付に言えば展示品リストはもらえる。
本当に久しぶりにお邪魔するので、スリッパに履き替え畳に座り、館所蔵の良品を鑑賞できる場も良いし、贅沢に真ん中に石庭を置くのも好き。
 
 ベルギー王立美術歴史博物館は7500点以上、ベルギー王立図書館は約500点を超す作品を所蔵する。ベルギー王立美術歴史博物館の浮世絵は、エドモン・ミショット(Edmond Michotte)はパリでフランス画商ビング(Samuel Bing)から購入。
コレクションを4666点を中心とするそう。

この展覧会、260点余りの作品を三会場で展示。
浮世絵大田記念美術館2008年9月2日-15日(前期)
浮世絵大田記念美術館 2008年9月17日-28日(後期)
高島屋京都店 2009年1月7日-19日
高島屋日本橋店 2009年4月29日-5月11日

春信は色彩鮮やか。春信の保存状態が良いと 
監修の永田生慈氏も指摘しているが、紫、藍、紅など本当に鮮やか。
空摺りも着物の文様など細やかな部分まで徹底している。
また雲母の背景も見事に保存されており、実物の鑑賞が
いかに贅沢で素晴らしいことか、実感した。

喜多川歌麿《当時三美人−おひさ・豊ひな・おきた》
ここから逆に、ジュリアン・オピーの作品を思い出す。
当世美人像 それぞれの特徴が出ている。

《錦織歌麿形新模様 浴衣》
浴衣の文様のしなやかな事。

北側歌麿の《針仕事》は、紗を透け具合が見事。

《高名美人見立て忠臣蔵 十二段つづき》
人気演目の「忠臣蔵」を人気芸者による見立て、グラビアというところか。
ちょっと胸も露で刺激的。後期にも引き続くとのこと。

喜多川歌麿《見越入道》《河童》
観るべし。美人画だけではない、歌麿の魅力たっぷり。

勝川春章の《金太郎と山姥》金太郎と動物達
歌川国芳《金魚づくし》

金魚ブームな江戸時代ゆえ、こんなに戯画で楽しめてしまう、
一流のユーモアセンス。

東洲斎写楽では、世界に1点しか確認されていない作品が。
 世界中に一点しかないと研究されているが、
まだまだ再発見の可能性もあるのではないかと。
発見とは 存在に気がついていないだけかも。

 ベルギーで膨大なコレクションを構築するに当たった
画商サミュエル・ビングと蒐集家ミショットに非常に興味を持った。
幸い大事に保管して下さったお陰で、今まさに摺りたてを見るような感激に直面する。
日本国内の宝を海外に流出するのも、また保管という面で効果的なのかもしれない。

 江戸時代には、日本国内で大衆的に流布しても、芸術品として珍重もしなかった
浮世絵が、今では貴重な芸術コレクションとなっている。
 例えば、今日本のマンガやアニメがオタウ文化として国内では評価も厳しいが、
アートシーンやファッション業界はじめ海外で高く評価されている。 
 今きちんとしておかないと、またもや海外コレクションによって
日本文化を再認識する図式が出来上がるのだろう。
あなどるなかれ B級アート。
ベルギー国内に収まった事で、こんなに笑えるユニークな内容でも、
「ロイヤルコレクション」と名付けられるのもまたおかし。

Mr bing & l'art nouveau le Japon artistique