講演会「源氏物語絵巻と紫式部日記絵巻」

五島美術館の名児耶氏の講演 東大島文化センター

源氏物語絵巻と紫式部日記絵巻
似ているようで似ていない
源氏物語  世界に知られる「小説」
紫式部日記 当時の実際あったこと「日記」

 その絵巻物が五島美術館に伝わるが大きな違いがある。
源氏物語絵巻 平安時代12世紀半ばの絵巻....引目鉤鼻で単純化
紫式部日記絵巻 鎌倉時代13世紀半ばの絵巻....より写実に

その根拠は「紫式部日記」の寛弘5年(1008年)11月1日の記事をもって
源氏物語一千年」の根拠になっているそう。

この頃 藤原道長の娘彰子に仕えていた頃の紫式部日記

「このわたりにわかむらさきや候」
「源氏ににるべき人も見え給はぬにかのうへはまひていかでものし給はむ」

この絵巻で ふっくらした姿が紫式部と認定されて
二千年の発行された二千円札の右下に登場 こちらは「紫式部日記絵巻」より
そして左上は「鈴虫」の場面 冷泉院と源氏の対面 そして夕霧と 親子三人の図
詞書は「すずむし 十五夜..」で始まる見事な書体。
(ちなみにこの絵巻には「にわ すずむし」と文字は見えるが、虫は見当たらないよう)

 もともと仮名がご専門ゆえ絵巻より詞書の話が多く面白かった。
四種類の筆跡分類があり、1種は「鈴虫38」「御法40」

「御法」の詞書は絵巻部分に近づくにつれて 重ね書になり、
紫の上の死へとクライマックスを演出しているような印象。
印刷文字と違って、文字間隔や文字の長さ、行間も自由に左右できる仮名文字。
(それゆえ読み慣れるまで 本当に大変な思いをするのだが)

 また絵巻も 現存、X線写真、赤外線写真、復元図 と4種類を比較して
とても面白い試みだった。実際に見えないものを見る「X線写真、赤外線写真」
そこから絵の具の違い、下書き、など新たな発見があるようだ。
 
 五島美術館の絵葉書でも 源氏物語紫式部日記を混同する人が多いのだとか。
ご自身で企画実現した1985年の展覧会は内容共に充実していたと絶賛していました。
いよいよ横浜美術館で開催予定の展覧会 NHKが非常にチカラを入れて番組など作り
盛り立てようとしています!