寺田知世個展@奈良・アートスペース上三条

平成20年7月1日〜6日(日)
アートスペース上三条 
奈良市三条町
TEL 0742−23−0114
やすらぎの道と三条通の交差点を南へ
岡三証券南側路地を入る

月刊奈良
「JAおおさか」
 2誌の表紙を手掛けているが、彼女の画も良いが文も面白い。その視点が一層面白い。
そういう感性ゆえにますます魅力的だ。

非常に絵の構成が面白い。
学校で野菜を題材にデザイン構成をしたのを思い出した。
しかし、彼女が通常ではないのは、野菜を見て慈しむ眼である。 野菜が生き物であるならば、そのあらゆる成長形態、あらゆる角度のうちから、それらを全て抽出し出して、彼女の感性によって一枚の画面に再構成して収めてしまうその力に参った。

 野菜は人間が見ていない所で、こんな風に賑やかに楽しそうに踊っているであろう そんな「しいたけ」「そらまめ」

 私が一番惹かれたのは魚達。


海の中でゆらゆら泳ぎ回るのに必要な鱗が、陸の上で幾重にも偏光させて光り輝く姿にその生命の片鱗を垣間見る。その色合いの変化が、本当に生き物をいとおしく見つめている事を実感する。

 野菜も魚も日常目にして食して自分の一部として生き永らえる人間として、その生命が輝く瞬間を切り取り画面に永遠の生命を残す仕事。
 そんな魅惑的な生き生きした野菜たちを描く彼女は「平成の若冲」であろうか。
 彼女も、若冲北斎の画風は好きだと言う事なので、あながち私の目も外れていまい。

 彼女はどこの会派にも属さず奈良を拠点にして、地道に一人で活動を続けている若手の画家。
 絵の題材のほとんどが彼女の暮らす奈良の田舎(田原本)の身近にある季節の野菜や花である。

 しかし、落語家さんを始め、多くの人に、水彩画教室にて水彩画を教えていらっしゃるとのこと。 
 大和屋通信では噺家のプロである彼は、寺田先生から水彩画を学ぶ事で随分楽しい日常を過ごしているとの随筆が載っていた。

 人は、マスメディアや広告媒体や評判の頻出度をもって、評価しようとする。それはGoogle検索で上位に上がる記事が一番正確で重要な記事なのではない現在のネット世界のように、表面化されていない活動の中に良質の存在感を放つ。
 キラリと輝く実力を見出してくれた アートスペース上三条のオーナーも、ここを紹介してくれた奈良の知人にも感謝したい。
 また撮影許可をありがたく、私の心に記憶するためにここに記す。私も彼女は絶対躍進すると思う。ただし情報過多の現在には、何かしら足掛かりが必要とするかもしれないが、しかし、その中でも煌めく存在である事を願って、私も記憶を留める。今後の活躍を注目したい方だから。
ファンはそこ ここにいらっしゃるよう。