山本太郎 - 風刺花伝@新宿高島屋美術画廊

6/18-7/1

 高島屋美術画廊を今まで誤解していたのかもしれない。
こんなところで!現代アート、しかも ニッポン画が展開されているとは。

知人が山本太郎氏の絵を購入したと聞き、どんな魅力があるのか興味を持った。
 日本画の伝統的な手法を用いながら、外来種セイタカアワダチソウ
 日本に定着した多くの外国資本の世界企業も登場する。 
白翁はカーネルサンダース叔父さん、KFC(ケンタッキーフライドチキン
水紋は清涼飲料水、鶴は日本航空、常緑樹をクリスマスツリーに、鹿をトナカイに、
観音が自由の女神に、闇夜はブルーシートに、
過去の代表作によれば、風神雷神は、仮面ライダーライディーンに。
仏陀が瓜生寅男(ウルトラマン)に。窯変した日本画が。

 2007年のVOCA賞受賞した山本太郎は、
イムラアートギャラリーから高島屋での個展への展開に。
京都高島屋に続く新宿展。美術画廊の方に伺ったろころ、
ほぼ完売状態で、新宿展のために製作した作品も既に売却済が決定しており
大変注目の人気作家となっているとか。巨匠と現代作家をバランスよく
紹介していくそうだ。

 本歌取りは日本の技法であるが、著作権、商標権に捉われずに
描き続ける傍若無人さぶりが、逆にKFCをひきつけ協賛企業に名を連ねている。
 当初は、企業からオファーを受けてコラボとして描いていると思った私にとっては、
相手に捉われることなく自由闊達にパロディ化して戯画している姿に潔さを感じた。
(CとJは現時点では無反応とか...)
 著作権侵害だと世界中で紛争が絶えない現在の状況を考えると、勇気がある行動であり、
今現在の人気ぶりを考えると、逆にコラボレーションの力を期待されるかもしれない。

 講談社の小冊子「本」平成20年8月表紙に「青敷秋草図屏風」が採用されたことから、
コメントを付しており、会場でも大きくパネルにされていた。
大原美術館長 高階秀爾氏が
「鋭い文明批評をおおらかな遊び心で包んだまさに日本的な達成なのである」と結んでいる。

 琳派の手法を用い、本歌取りで古典の名作を再構築しようとする、現代の琳派とも見えなくもない。
アニメキャラクターも日本画技法で変換していく面白さ、今後も期待できそうである。
 
 ちなみに新宿高島屋JR連絡口側では「切符deアート」
アトムとウランちゃん、御茶ノ水博士がビルを背景に登場している。
この緻密な作業をされたスタッフの方が素晴らしいが、新宿区長も参加。さすが