Harsha「Leftovers」@ Maison Hermès

 銀座エルメスビルの8階にあるギャラリー
Leftovers by N.S. Harsha
2008.6.11 - 9.15 @ Maison Hermès 8F Le Forum

 初めてこのギャラリーに立ち寄るので、緊張する。
今年のテーマはインドで彩られた鮮やかなオレンジ色のスカーフ
香水瓶の並ぶ一階のエントランスを越えて行き、
隠れエレベーターで8階に上がる。

 今回は、拍子抜けするくらいに、床に接したインスタレーション
白壁に描かれた彼のイマジネーションでいっぱい。
お陰でガラスブロックの外が眩しいくらいに拡がります。
銀座エルメスでこの食事食べ残しの連続?
と思ってしまいましたが。
 南インドの食文化がバナナの葉の上にテンコ盛り。

space beauty culture hunger choice history future
identity taste ........

 白壁に手描きされたイラストは、スタッフによると
食事をするときにこんなことを考えているんだろうなあ と
想像しながら描いたとか。バナナの絵の上に色々な
イマジネーションが乗っかります。
 インド生活文化を感じる絵から、点描と曲線からなる心象風景
それぞれのキーワードを盛り込んだ絵。

 tokyo art mapによれば、
「残された食事をも表す。そして作品の中の食べ残しは、食べた者に
よって食前の一様性がひとつひとつ異なる跡と化している」と。
彼は日本のサンプルに興味を持ち、今回も日本の食品サンプル会社に
様々な写真を送り、作成してもらったとか。
 なので、食品サンプルのあまりの巧さに感激している訳にはいかず、
その風景から感じることが大事。

 9階から全体像を眺めつつ、人間の営みの基本形を考え直す。
アートは美しいばかりでない。
アートから何かメッセージを受け取る仕掛け。

 人は食物を摂取することで、それを体内に取り込み血肉となり、
それぞれに変容していく。
 そんなことを考える。

 9階には彼の活動を図録などで見ることが出来るので、
今までの活動を知るには、こちらを見るのが良い。
 イギリスでも高い評価を受けており、イギリスを題材にした絵では
エリザベス女王をはじめ、デミアン=ハーストのあのサメも登場している。

 関係ないが、サンスクリット語で (harsha) は"happiness"の意味。
人間にとって様々なカタチを こういう試みで提示するのは面白い。
食べ残しを展示と聞いたとき、こんな梅雨時にどうするのかと思ったが、
さすが 食品サンプル とは。それは方法論。
それを通じて 伝えようとしたかたち を受け止める。

 エルメス現代アートに関する寛容の心に感謝するばかり。
メゾンエルメス ル・スチュディオ 7月12日より上映作品は
India Matri Bhumi」ロベルト=ロッセリーニ監督の1959年の作品
この豪華な会場で鑑賞できるのも無料というのも素晴らしい。

 シャネル=モバイルアートも人気だが、エルメスもネット上でも
銀座でも果敢に華麗に展開するアート支援は素晴らしい。
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