オールドノリタケと懐かしの洋食器展@東京都庭園美術館

http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/noritake/index.html

 鍋島や古伊万里の有田から、ヨーロッパは白磁に魅せられて マイセン窯やセーブル窯へと発達していった江戸時代から、一挙に逆転現象が生じた。
明治、殖産興業政策からヨーロッパの様式を模倣・学習することからはじまり、いかにも欧州好みへ、しかも欧州が戦場になっていくと、アメリカの顧客を相手にしてデザインを相手好みにしていくという変わり身の早さ。そういった模索時期の貴重な洋食器文化を今回、守屋さんという個人コレクションによって実現している。
 東京都庭園美術館の敷地に一番相応しいように、丁寧に計算されて、配置ライティングがされて、東京都庭園美術館の建物が好きな人には相乗効果で楽しめる企画である。
アールデコのデザインなどは、まさにこの美術館の場に相応しいようである。

 「オールドノリタケ」とは現在のNoritakeの前身である日本陶器と森村組の一連の作品を指すようです。ちょうど、顧客好みにデザインを考えて日本の技術力を結集して廉価に作品を作り上げていった時期。
 
 西洋のデザインや技術の逆輸入があり、顧客好みにデザインを変更し続けて生き残るために多くの努力をしている。折角の技術を持ちながらも、消えていく会社があるという記述がかなり心に響いた。良いものを作り続けるだけではダメであろうか。

 しかしながら、西洋の模倣をしながらも日本独自のテイストが感じられるこの洋食器類。実際に愛用されて持ち手の金が少し剥がれているものもあり、漆の根来塗のような味わいとは異なるが、その時の楽しい団欒を想像すると楽しいのではないだろうか。