川内倫子写真展semear@FOIL GALLERY

2008年4月24日(木)- 5月25日(日)
〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル201
12:00 - 20:00(初日と日曜・祝日は18:00まで) 会期中無休

2008年4月28日、ブラジルを目指した最初の日系移民の人々が神戸港を出港した日から100年が経ちます。07年に発表した写真集『種を蒔く/Semear』で川内倫子は2年間、計3回の渡伯をかけて、日系社会だけでなく、大自然とそこに棲む生き物、人々の生活やカーニバルまでを撮り下ろしました。 また、同年にサンパウロ近代美術館で開催した個展「Semear」は話題を呼び、多くの人が訪れました。
サンパウロベレン、トメアスー、カンピーナスロンドリーナ、イグアス、パンタナール、ボニートリオ・デ・ジャネイロ、サンルイス、レンソイエス・マラニャンセス……ブラジルでの一瞬一瞬が、圧倒的なエネルギーを含みながら、時には懐かしく、美しく繊細に刻まれています。
FOIL GALLERYより引用)
 
 彼女の作品の素晴らしく魅力なのは、写真集となって本の形態になったとき
それぞれの写真が前後関係で関連を生じ、ストーリーを展開し始めることだ。
そのよく熟慮された配置は、一枚の写真をより一層引き立て物語を語りだす。

 今回のギャラリーでの写真展も、
その配置がそれぞれ呼応するように展開する。

 まずは小さなサイズの作品を見事にパッチワークしたような構成で
オレンジを向く手をはじめとして、ブラジルでのあらゆる風景が切り取られ
川内倫子写真の作品としてキルティングされていた。
 
 そして一枚一枚のストーリーが始まる。

 熱狂的な歓声の群集から 丸い針山の小宇宙(コスモス)へ 
そして
リオのカーニバルか はち切れんばかりに魅力的なダンサーの美尻
そして日本風お皿に盛られるつやつやと輝くブドウの粒

 蟻が進む 川より飛び出すワニの姿 
とにかく地面から水面から見上げるようなカメラワーク

 人生の記録を肌の皺に刻み込んだおばあちゃんのお顔

 なだらかに蛇行する大河 滝の轟音 
小さな生命力を持つ赤ちゃんの表情 艶やかな蘭の花井

 そういった一枚一枚の完成度もさることながら
複数の連携が醸す空間というのを魅力的に感じた。

 なかなか魅力的なギャラリーで今まで見落としていたので
気をつけて注目しておこう。帰り道の寄り道、いっきょにブラジルに
来たような空間であった。

 透明感もありながら その静かに地面から空に向かうようなレンズ

AILA

AILA

Cui Cui

Cui Cui

この写真集のせいか すいか と みずいろ のイメージがインプット。
静かな13年間の家族の記録 静かな物語をたくさん残してながら。


頁をめくるたびに、そのよく練られた順番と構成に驚いてしまう。
FOILはアートブックの作りが上手い出版だと思う。

文字のない写真集は雄弁なる語り手である。
その切り取った風景や物がコトバをもって話しかける。
静かだか圧倒的な情熱を持って語る。