江戸絵画の夢と光 若冲・北斎とともに@細見美術館
あまりにもあっさりしてモダンな建物でどきどき。
入り口から段々に降りていく行程を第三閲覧室まで続ける構造。
これを面白いと思うかフカイと思うかは人次第。
しかし入場券代わりのシールは、途中で取れて落ちたりしていて難しい。何かよいアイディアがあればと思うが、床に張り付かなければよいのです。
この建物の不便さが、なんとなく安藤忠雄の住吉の長屋を想起させたりして、常に外気にあたる。
室内へタイムスリップをしていく様子。
さて深層階は、ギャラリー併設。とてもセンスがよい選書と品々 揺れ動く欲望を今回は押しとどめる。
カフェも吹き抜けを感じて心地よい場所。
伊藤若冲や琳派が大きな人気を博して近年人気注目を集める江戸絵画。
京都や江戸を中心に活躍した画伯が登場。
「糸瓜群虫図」若冲
あまりにも有名な図。パネルで丁寧にみどころを教えてくれる。最初にじっくり絵を見て、再確認してさらに驚く。
アクロバティックなバッタの佇まいや、青虫が隠れているなど、現代にも通じる遊び心満載の愛らしい画である。
青物問屋だけあって、蔬菜の描きの細やかさつややかさ。
また若冲コレクションは素晴らしく、筆のひとはらいで、鶏の尾の見事さ。眼力の鋭さ、毛並みの見事さ、全てを集約している。
まさに画に生きた人であってこそ。
たくさん拝見できて楽しかった。
◆「きりぎりす絵巻」
なんともシュールで奇怪な虫の顔をした人物達。仮面ライダーではないが、愛らしいというべきか、変としかいえないけれど、時代を経るとこうやって美術館で珍重されるのが面白い。
◆「夜鷹図」
一度北斎展が拝見した事があるが、後姿がこれほど魅力的な人はいまい。
◆「五美人図」
三角形の構図をいくつも多様して、バランスを整えた画面に仕上げる。そのために一美人は足に無理があるが、全体の構図を見ると安定感がある。
北斎の絵は基本形として三角形を構図で盛り込むのが上手い。
それぞれの美人像顔つきも着物の柄の多様さも素晴らしい。
ここは音声ガイドもあり、最後にはコントローラーにてヴァーチャル美術館体験が出来る。同じ展開を日本科学未来館のユビキタスゾーンで体験したことがあるが、扱いに慣れると面白い。娘は夢中になって取り組んでいたが、れるまでは四苦八苦というところかもしれない。
とはいえ、やはり本物には敵うまい。
三層分の展示スペースが小さいながらも贅沢な作品で占められており、個人美術館としては、なかなか良い場所良い作品に恵まれる。
入館料千円は高いと思ったが、本当はインターネットで割引券を打ち出せば、八百円であるし、今回は開館記念ということでリピーター券があり、これだと次回は五百円で見られるので、トータルで考えるととてもお得な美術館といえる。
友の会は三千円で入れるので、京都に近ければ是非入りたいと思った。